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フランスにおける国際政治学      武者小路 公秀

今回、本書籍を取り上げた理由としてはフランスの政治を知りたいという理由が大きい。
日本の政治とその他海外の政治体制は大きく違いが存在しており、特にフランスでは現大統領のエマニュエル・マクロンは、2022年4月19日現在で44歳という驚異的な若さで国を率いている。
これは歴代のフランス大統領の中で最も若い大統領であり、年功序列を重要視する日本ではありえない政治形態となっている。日本との違いを少しでも知ることで、今後の論文への知見を高めようという狙いがある。

 本章では、フランスの国際政治学を理解するにあたって、個々の文献の解題をこころみるよりも、その一般的な目的意識の方向や研究方法の特色についてふれる方が適当であると思うという筆者の考えから、三つの観点で問題を取り上げる必要があるとしている。

それは第一に、国際政治学(国際関係論)という新しい学問体系がどのような形でフランスに成立したかということ
第二に、これがフランスの学問的伝統、フランスの国際的地位によってどのような特色を与えられたかということ
第三に、フランスにおける国際政治学の特色がどのような点で私達の参考になるかということ
というこれら三点だ。

 一つ目の国際政治学(国際関係論)という新しい学問体系がどのような形でフランスに成立したかということに関して、筆者はフランス国際政治学が独立した学問体系として成立したのは、戦後におけるアメリカ政治学が原因であり、その中でも国際政治学の紹介・流行による触発の結果であるとしている。
ここから理解できる事として、フランス国際政治学はアメリカ国際政治学の影響下においてではあったが、その独自の道を求めるという形で出発したものであるということができる。

 二つ目のこれがフランスの学問的伝統、フランスの国際的地位によってどのような特色を与えられたかということに関して、筆者は鋭い制度的感覚と歴史的感覚が、フランス国際政治学を特色づけているとしている。
それは、フランス公法学目国際法学の伝統が国際政治学に一つの国際制度論という支軸を与え、これに一つの特色を与えた為、フランスの国際制度論は、フランスの国際法学の伝統を国際政治学の中に包摂する事によって、アメリカ的な国際関係論ないしは国際政治学と違った特色ある研究領域を築いている事や、国際政治事象の複雑性を大切にし、これを織りなす無数の因果関係を実証的に捉えようとするフランス国際政治学の研究態度という二つの観点から筆者は理論づけている。
要は、フランス国際政治学が、同国の学問の伝統から国際制度論と地域 研究に対する特別の関心をひきついだという事になる。

 三つ目のフランスにおける国際政治学の特色がどのような点で私達の参考になるかということに関して、筆者はアメリカ国際政治学とは異った研究方法と研究領域がフランス国際政治学によって開拓されようとしている独自性を見習うことができるとしている。
アメリカ国際政治学という大きな枠組みとは違う自国の独自性を出した研究を確立させようとする動きがあり、それはフランスの国際政治学においてアメリカ国際政治学が行われている事から裏付ける事ができる。

 まとめとして、筆者は「アメリカ国際政治学の影響のもとに誕生しながら、よくその学問的伝統をいかし、その国際的地位に立脚した研究体系をうちたてることによって、ついにはアメリカ国際政治学を批判するまでに成長しつつあるフランス国際政治学の例は日本国際政治学が他山の石とするに足るものであろう。」としている。
このように、フランスの国際政治学を通して、我々日本国際政治学が成長する方法のカギと必要性について述べていた。

 私自身も、フランスの独自性を重要視する国の方針はとても素晴らしいと考えると共に、自らの知見を高める事ができた。

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