ラッセルのパラドックスが意味すること
ラッセルのパラドックスというものがあります。それは、「自分自身を含む集合」を考えると、矛盾に陥る、というものです。例えば、「画面」をその諸要素(その画面上に映るもの)の集合として見立てると、
1.この「画面」にはすべてのものが映る、とすると、
2.その「画面」と、その画面に映るものは、異なる、はずですが、
3.その「画面」には、すべてのもの(Aとします)が映る、と定義されているので、
4.その「画面」もAに入らないと、1は満たされない、すると、
5.その「画面」も、その画面に映るもの、となる必要がある。そのため、
6.2と5は矛盾する。
この矛盾を回避するには、どうすればいいのでしょうか。いま矛盾しているのは、
2.その「画面」と、その画面に映るものは、異なる、はず。
5.でも、その「画面」も、その画面に映るもの、である必要がある。
という二点のあいだでのことでした。このうち、2は、否定するのも、修正するのも、なかなか難しそうです。でも、5の必要が生じるのは、1(この「画面」にはすべてのものが映る)を満たすためでした。2と5のどっちを守る? となったら、2を死守して、1をこう変えれば、問題ありません。つまり、
1´.この「画面」には、この「画面」というもの以外の、すべてのものが映る。
とすれば、矛盾にはなりません。でも、そうすると、「自分自身を含む集合」というそもそものパラドックスが帰結しません。そのことが意味するのは、「自分自身を含む集合」というのはありえない! という点で、なぜなら、集合とその要素については、必ず2が成り立つからだ! ということです。つまり、集合においては一般に、
何らかの集合は、その集合に属する要素と、同一にはなれない
という、集合と要素のあいだの排中律!(集素排中律?)が成り立っている、ということかも!?