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詩)優しい人

ああモヤモヤする
ああモヤモヤするねと自分で答える
残されたバッテリーはほんの僅かだった
脳はもう痺れることを求めて LINEマンガを開けと命じてくる
それでも必死に何かを書こうとは独りで焦る
メモを使って書けるのはもうあと僅かだ
バッテリーが切れかけている
でももっともっと切れかけているのは
違うんだ バッテリーじゃない

こんなに優しい人ばかりなのに
汗をかいて一生懸命みんな働いているし
帰りたいのを我慢して仕事しているし
その優しい声はどこへ行くのだろう
へなへなとしおれてどこにも伝わらず 
今日のことで精一杯で貯金もなく未来も見えない優しい人たち
それなのにやっぱり従うだけなのか
歩いても歩いても たどり着けないのか
バッテリーはもう少しの赤ランプ
ああモヤモヤする

いま狂った風が吹くそんな時だと思うんだ
優しい人よ そんな時なにが人を人とさせるのか
血みどろの鳩を射抜こうとする矢をへし折る反逆は夢だろうか
そう思えないかもしれない でも

手に汗を
肌には緊張を
鉛筆を握って
銃口を
定め
引きつけ
ズドン!と
放て
一票の銃弾。

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高細玄一(げん)
2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します