詩)お互いの距離
10月だというのに暑い日が続く 午後からはずっと母と一緒に過ごす 僕はやることがありずっとノートパソコンの前にいる 母はテレビを見ていたが なんも見るもんないねといい本を読みだす 僕はちょっと期日の迫った書き物があり16時くらいまで母とほとんど口を利かない 母がまだ晩御飯作らなくていいのね?と聞くので 大丈夫 今日は煮魚だからすぐできるからというと言うと ほら この前買ったカニカマ明日くらいで期限だからと言い出す 暗に早く使わないとと急かしているのだ この前スーパーで自分がこれ美味しそうといって買ったもの まだ2日前だ 言い出したら気になって気になってしょうがない わかったよサラダにするから そう言いつつ僕はまだノートパソコンで作業中なので腰を上げず テーブルの上は散らかったまま 母はもう布巾を出してきてテーブルを拭き始める いやいやまだいいよ 今度は台所へ行き食器の片付けも始める もう仕事は終わってくれという無言の圧力 突然 台所でガチャン!と音がして母の足元でコップが砕けている 母があちらこちらに飛び散ったガラスの破片を拾おうとしているので危ないからやるからと僕が破片を集める
いつも役に立たなくてごめんね あんたばっかりになんでもやらせてすまないね
そんなことを言う母が 少しかわいそうになる
母はなりの役割分担が無いとだめなのだ それぞれが同じ空間でやっぱり別々の人生を生きているんだから
何もしないこと それは出来ないものなのだ
そんなことを考えていたら
〈生きるって 何だろう〉
急に不思議な気持ちになり
母の顔を見る
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