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詩)川内原発24時


翌朝 変貌してしまった世界にひとまず呆然とする 真面目な恐怖感 何もないことに気がつく シャベルがひとつ ビニール袋 役に立つかどうかわからないものを握りしめている 退避勧告が出て 想像を絶する略奪を見て 寸断された道を徒歩で歩くこと なぜこうなったのか 今さら誰にも聞けない この景色がいつか来るとどこかでわかっていたような気がする もう逃げるところがない 行くところも もうない 祈り 置き去りに過ぎていく いま大切なのは何 立ち尽くし 思考は止まる 

ああこれは夢か ああこれは夢なんだ
命を確保するためために疲れきって
初めて真剣に声をあげて泣いた
泣いても誰もいない
川内原発24時
断層破断
の幻の
いま



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げん(高細玄一)文学フリマ東京39 な-20
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