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『ラストマイル』——日本のドラマ好きが語る「息を飲む心理戦」


1. 日本ドラマと映画の融合が生み出す緊張感

『ラストマイル』は、日本ドラマが得意とする緻密な心理描写と、映画ならではのスケール感が融合したサスペンスの傑作です。主演の満島ひかりが演じる主人公は、どこかドラマ『Woman』や『カルテット』で見せたような、複雑な内面を抱える女性像を彷彿とさせます。彼女が画面に登場するだけで、その場の緊張感が一気に高まるのは、彼女がこれまで培ってきた演技の厚みと説得力の賜物でしょう。

映画全体のテンポは、まるで連続ドラマの最終回が2時間続くような怒涛の展開です。「次はどうなるのか」という視聴者の興味を引きつけ続けるストーリーテリングは、まさに日本のサスペンスドラマの真骨頂を彷彿とさせます。


2. ドラマ好きが喜ぶ巧妙なキャラクター構成

『ラストマイル』の特徴の一つは、登場人物それぞれが「裏の顔」を持つことです。この点は、例えば『アンナチュラル』や『MIU404』などの人気ドラマが得意とする手法を思い起こさせます。

満島ひかりが演じる主人公・高峰涼子は、表向きは冷静沈着なプロフェッショナルですが、物語が進むにつれて彼女自身の過去や感情が徐々に明らかになり、その「人間臭さ」が視聴者を惹きつけます。また、対立するキャラクターたちも、それぞれに秘密や矛盾を抱えており、一筋縄ではいかない人間関係が作品全体を深くしています。こうした構成は、視聴者に「誰が真実を語っているのか」を考えさせる余地を与え、物語に引き込む仕掛けとして機能しています。


3. 演出の巧みさと映像美

映画『ラストマイル』は、映像美と緊張感あふれる演出が随所に光ります。特に閉ざされた空間でのシーンや、主人公が追い詰められる瞬間のカメラワークは、ドラマ『SPEC』や『ケイゾク』でおなじみの不安感を煽るような手法に通じるものがあります。

また、暗いトーンのライティングや、微妙な表情の変化を捉えるクローズアップショットは、観客の視線を登場人物の心理に強く引き寄せます。これらの演出が、映画全体に緊張感を与え、ドラマ好きの心を鷲掴みにする仕掛けとなっています。


4. ドラマ的なテーマと深み

物語のテーマである「家族」「復讐」「信念」は、まさに日本のドラマが好む題材です。主人公の高峰涼子が抱える葛藤や使命感、そして彼女の行動が他者に与える影響が、丁寧に描かれています。この点は、ドラマ『Mother』や『逃げるは恥だが役に立つ』が得意とする、複雑な人間関係や価値観のぶつかり合いを思い起こさせます。

映画の中盤では、登場人物たちの信念が交錯する場面があり、それぞれの言葉や行動に「正義」と「悪」が入り混じる曖昧さが描かれています。この「善悪の境界線の揺らぎ」こそが、本作をただのサスペンス映画以上のものに押し上げている要素です。


5. 総評:映画とドラマの垣根を超えたサスペンス

『ラストマイル』は、日本のドラマが得意とする濃密なキャラクター描写と心理戦を、映画のスケールで楽しめる稀有な作品です。満島ひかりを筆頭にした俳優陣の圧巻の演技、計算された演出、緊張感を極限まで高めるストーリー展開が、観る者を最後まで釘付けにします。

ドラマファンであれば、「どこかで見たことがあるけれど、まったく新しい感覚」を味わえるでしょう。この作品は、まさにドラマと映画の垣根を超えた一作であり、エンターテインメントとしての完成度の高さに驚かされること間違いありません。

ぜひ、スクリーンでこの息詰まる心理戦を体感してください!


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