肌色 skin color
去年の3月からサンフランシスコはロックダウンが一年以上続き、かなり窮屈な生活を強いられましたが、唯一ありがたい事に(コロナの置き土産)ファンデーションの色が2段階明るくなりました!パチパチパチパチ。
それで思い出した話がありました。
コロナ禍前、ELS(語学学校)の授業、先生が用意した文字が書いてあるカードグループで引き、それについて即興で英文を作るというもの。私が引いたカードはyellowでした。
私が咄嗟に言ったワードは
『My skin is yellow』
先生が飛んできました。
『Mami あなたの肌はyellowじゃない、yellowじゃないのよ!そう、ライトベージュ、ライトベージュなのよ!』先生の結構な勢いにびっくりした私は『ア、アイ、アンダースタンド』と答えるのが精一杯。
自分ではなんとも思わなかった黄色の肌というのがまずい表現だったんですね。
先生は良い機会だからと、みんなの肌の色について、適切な色を学習しましょう、といろんな色を説明してくれました。
その当時のクラスには、チャイニーズ、ベトナミーズ、メキシカン初め南米系のラティーノ、ロシア系、イエメン、スーダンのアフリカ系の生徒がいました。
ロシア生徒の white(ホワイト)ivoryや(アイボリー)から始まって、ウクライナの生徒 light pink(ライトピンク)アジアンは light beige(ライトベージュ) ,light almond.(ライトアーモンド)とか、ブラジリアンほ golden(ゴールデン),ベネズエランやメキシカンは light brown(ライトブラウン)から brown(ブラウン) , スーダンの学生のdark skin(深い色)まで。
先生はみんなそれぞれの肌の色は素敵で、自然界の色に喩えて表現するとわかりやすいと(ヘーゼルナッツとかピーチなんかオススメよと言ってました)。その一方、yellow、blackは肌の表現としては控えましょうと締めくくりました。
その次の日の朝、クラスメイトと挨拶を交わしている時、なんだか違和感を感じました。マリア(ロシア)とシオラマ(グアテマラ)の二人なのですが、明らかにいつもと違う。
先日の肌の色の授業で話し、お互いの肌の色に憧れているのがわかって、トイレでファンデーションを交換したのだとか。真っ白なマリアの肌が今日は小麦色に、シオラマの肌はピンクマットのフェースパウダーでよそ行きの顔になっていたのです。
ちょっとした遊びだったのですが、他者の個性を受け入れ、尊重しあった良いエピソードだなあと今も思います。
肌色、日本では2000年代前後に、その色の定義が問題視され(肌の色として一色を示すと差別につながる)2005,2006年頃には、色鉛筆やクレヨンから肌色は一切なくなったようです。日本に住む外国人やその子供も年々増えてきていたので、当然議論の余地があったのだと思います。
以前、飲食店を営んでいた時に、アフリカ系フランス人のお客様に『合うファンデーションが近所に売ってない』と言われたことがありました。彼女は濃い褐色の肌だったので、いわゆる普通の日本人向けの化粧品店ではフィットする色は見つからなかったようでした。
そうですよね、大抵日本のメーカーはベージュ中心に9色展開くらいだったと覚えがあります。
そして今、サンフランシスコでファンデーションを探そうと思ったら、その色の展開の多さにびっくりです。
日本では大体この辺りかな?と妥協していたのが嘘のように、かなり自分の肌に近い色を選ぶことができます。
まるで肌のオーダーメイド。気分が上がります。
世界の多様性によって 存在を失った肌色ですが、最近有名なクレヨンメーカー クレヨラから、肌色のクレヨンが発表されました、COLORS of the WORLD CRAYONS24です。
肌色といっても薄オレンジじゃありません。
クレヨラ社はこの商品を生み出すにあたって、、、様々な色のファンデーションを製品にしてきたMOB BeautyのCEO、ヴィクター・カサーレを監修に迎え、世界中にある肌の色を24色にまとめました。
そう!肌色としたクレヨンの24色セット!
私が自分の肌にぴったりなファンデーションを見つけた時のように、子供たちが、自分の肌の色をこのセットの中から選べることを想像すると、ワクワクします。
自分をより自分として描けるからです。
そして箱の中にある他の肌色を見ることで、世界には自分とは違う個性を持つ人たちがいる=多様性を認識できるのではないでしょうか。
小さな箱に詰まった肌色24色セット、肌色は一色ではない。
現実的でありながら想像も膨らみます。
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