Photo Exhibition "Relation" 感想

大学で偶然に知り合った先輩は、首からコンパクトフィルムカメラを下げていた。私は写真部の部長を務めており、同時に所謂スランプでもあった。

弊学の写真部の活動は活発だが、単調な繰り返しでもある。年5回開かれる写真展には抽象的な写真が、モノクロフィルムの写真が多くを占める。それを悪いとは言わないが、私は正直なところ、見飽きてしまっていた。当然だ。同じ人物の写真を数回見れば、ある程度パターンは読める。新鮮味は薄れ、「あぁ、なるほど、今回はそういう感じね」という印象しか感じなくなっていく。

そういう意味で、その先輩の撮る写真は眩しく、瑞々しかった。コンパクトで撮る、素直なポートレート。たったそれだけのことが、とても魅力的に見えた。

私がお邪魔した写真展「Relation」は、まさにそんな写真展であった。一言で表すならば、素直。そのまま。純朴で優しい写真展だ。

この写真展では、総勢17名の写真愛好家による様々な作品が展示されている。そのいずれにも、光る個性が垣間見える。

例えば「聞こえる」と「音の環」は、それぞれ、時代の変化に合わせて味わいを変えた写真とライブの写真だ。写真そのものだけでなく、その背景や配置を駆使して、その空間、いや空気感に巻き込まれるような作品であった。

例えば「150728」は、女性のきれいなポートレートだ。圧倒的な技量で映し出される海岸の もや や瞳の輝きは、もはや脱帽ものだが、一つだけ、その女性が物を持っている写真がある。太宰治の「グッド・バイ」だ。その落差によるアクセントには、心底感服する。

例えば「『日常』を『非日常』に」は、一人の女性の、町でのポートレート。しかしそこには、純粋でありながら不純な、その2つの非常に心地よいバランスが形作られている。作りものの感情でありながら、現実よりも現実的な作品だった。

他にも素晴らしい作品が数多く展示されている。もちろん、これを私に教えてくれた先輩の作品もある。残念ながら写真を撮り忘れてしまったので、どんな作品かは自分の目で確かめてみてほしい。

写真展 「Relation」は、京王聖蹟桜ヶ丘駅SC A館・B館5階 連絡ブリッジギャラリーで開かれている。2019/8/27まで開かれている。色とりどりの写真が並ぶさまは並の写真展よりも圧巻で、ショッピングモールで開かれているとは思えないほどボリューム満点だ。ぜひ行ってみてほしい。

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