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7インチ盤専門店雑記599「風のマジック」

アメリカの「風のマジック You Can Do Magic」という曲があります。1982年のヒット曲です。先日常連さんのTさんとこの盤を見ていて、「ラス・バラードの曲なんですね」と指摘され、初めて気がつきました。…ラス・バラードの曲なんですね!!

日本ではあまり人気がないバンドなので、「アージェントのギタリスト」という形容が理解され難いわけですが、いい曲をいっぱい書いております。レインボーの「アイ・サレンダー」や「シンス・ユー・ビーン・ゴーン」は特に有名でしょうか。…最近書いていたことに絡めれば、レオ・セイヤーの初期のアルバムをプロデュースしていたり、ザ・フーのロジャー・ダルトリーのファースト・ソロもバックアップしております。

やはり気になって調べてみましたが、いろいろカヴァーされていたり、提供していたりします。有名どころをピックアップしてご紹介しますと、キッスが「God Gave Rock 'n' Roll To You」をカヴァーしているのは有名なんですね。以前SkyBlueさんに指摘されて知りました。…キッスはあまり聴かないもので…、有り難うございます。キッス関連ではピーター・クリスやエース・フレーリーのソロにも楽曲提供しておりますな。エース・フレーリーの「New York Groove」は大ヒットしましたね。ハードロック系では、キング・コブラ、グラハム・ボネット、ナイト・レンジャーなどの名前が並びます。…バッド・イングリッシュも2曲ありますね。

面白いのが、ベイ・シティ・ローラーズやABBA、オリビア・ニュートン=ジョンといったポップな連中にも楽曲提供していることでしょうか…。ABBAに関しては、アグネタとフリーダのソロにも絡んでいるので、まとめて契約したとかですかね。そして元々アージェント絡みではありますから、ロッド・アージェントがいたゾンビーズのヴォーカリスト、コリン・ブランストンも彼の曲を歌います。「I Don't Believe In Miracle」も大名曲ですね。つまりソフトな曲もいけるわけですね。

こうして見てくると、やはりグッド・メロディメイカーという気がします。シンプルなリフと特別凝っているとも思えない曲構成、コード進行の曲が多いように思えますから、美メロ作者ということなのでしょう。

アメリカの「風のマジック」は面白い曲です。ウチのお客様では、若い人の方が「好き」とおっしゃいます。私も含め、全盛期かと思われる70年代のアメリカを知る世代にとっては、「ああ80年代の曲ですね」「いい曲ですね」といった程度で、「好き」という声は聞きません。やはり「名前のない馬」「ベンチュラ・ハイウェイ」「ひなぎくのジェーン」「ティン・マン」「シスター・ゴールデン・ヘア」といった名曲群の方が印象深いからですかね…。全然嫌いではないんですけどね。

アメリカってオリジナルの名曲がいっぱいある人たちですよね。曲を書ける人たちがこういう他人が書いたシンプルなメロディの曲をやるというのは、リセットとか、初心に立ち返るとか、そういう心情が見えるような気がしますね。


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