7インチ盤専門店雑記572「10インチのジャケット・デザイン」
今日は音ではなく、ビジュアルのことについてです。ジャズのアルバム、特にブルーノートのいくつかは、中身よりもジャケットが好きで持っているものがあります。リード・マイルス+フランシス・ウルフの有名盤も当然ながらいいのですが、あまりメジャーではない盤もやはり味があるなぁと思わせたりします。
たまに針を下ろす機会があるかと思う盤はお店に置いてありますが、あまり音に多くを期待してない盤だったりしますから、こういう盤は自宅にあります。特にブルーノート5000番代、つまり10インチ盤のジャケットって何だか愛おしいデザインが多いんです。時代を感じさせる、つまり古いということは否定しません。78回転のSP盤の時代はカンパニー・スリーブしかありません。JATPなどの一部デザインされたものもありますが、極々一部です。ライナーもメモ程度の体裁だったりします。
同じ10インチのサイズでもヴィニール素材になったところからジャケット・デザインという行為が始まったわけで、最初の頃は演奏者や収録曲を文字情報としてジャケット表面に書いたものがほとんどです。次第にタイトルとアーティスト名のみになって行きますが、ヒプノシスがデザインしたもののように、一切文字情報がないものまで登場するわけです。主要メディアがCDになり、ジャケットの存在感は薄れますが、まさか配信になってパッケージ・メディアではないものが登場するということは想像すらできなかったですね。
ヴィニールの10インチ盤の初期は文字情報満載です。この時代、A面とB面が違うアーティストのレコードがいっぱい作られます。ヘンリー・アレンとレッド・ノーヴォのオムニバスは ↓ こんな感じ。パーソネルと収録曲をキチンと伝えるもので、少々デザインはされておりますが、シンプルですね。
プレスティッジのワーデル・グレイ、単色刷りが経費節約を感じさせます。ヘッダー写真のマイルスは一応二色刷りですからね。
キャンドルライトの女性ヴォーカル・シリーズはシンプルに曲目だけですね。いい感じです。…実はこの人の声、大好きです。
ブルーノートも最初の頃は ↓ こんな感じです。パーソネルと収録曲目を書くのが常識だった時代ということなんでしょう。
モンクも同様…。
ところがマイルスになると、かなりデザインされているような印象になります。…モンクも古くさいけどデザインされているか…。
これがねぇ、ベツレヘムだと、1954年のオスカー・ペティフォード「ベイシカリ―・デューク」でこんなですよ。その後の大勢を占めるアーティスト名とタイトルのみなんです。…相対的に何だか凄く新しいデザインのように感じてしまいました。まあ、贔屓の引き倒しでしょうけど…。
リー・コニッツの「コニッツ」に至ってはもっと潔いわけですな。
ジャケットだけでなく、レーベル・デザインも何だかカワイイんですよね。ブルーノートはもう定番のデザインになっているところが凄いかもですね。ヘッダー写真のマイルスのプレスティッジ盤のレーベル・デザインが妙に好きだったりします。
…いかがですかね、古い10インチ盤でデザイン・スタディもあったものではないかもしれませんが、レコード好きなどというもの、そういったディテールが好きなものでもあります。