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7インチ盤専門店雑記829「上手いドラマーとは(2)」
先般、スタントン・ムーアについて書いたところ、結構多くの方から反応をいただき、それ以来毎日のように聴いております。ウチのスピーカーで聴きたいということで、ご来店くださった方も複数名いらっしゃいましてね。まあ、上手い人です。
前回は2人のドラマーをご紹介しましたが、このスタントン・ムーアの動画がZildjian Live!というシリーズのものだったため、他のドラマーをフィーチャーしたZildjian Live!の動画も目につきましてね。当然ながら上手い人達がフィーチャーされています。はっきり言って、全員上手いです。でも全員聴いて楽しめるかというとそうでもないところが面白いとも思います。…正直言って、最近評判のJD Beckとか好きではないんですよ。しっかり出てきますが、どうもいけません。聴いていて(観ていて)イラついてしまいます。
他にも上手いなぁと思う反面、この人のレコードを買うかと言われたらNoというドラマーも結構いますね。ここしばらく、この手の動画を多く観ているので、自分のドラムスの音の好みまで見えてきてしまいました。やはりスタントン・ムーアが好きということには変わりないのですが、今後チェックしてみようというドラマーも出てきました。
まずは2人の女性ドラマーですが、意外や意外、パワフルなドラムスを聴かせます。女性だからって繊細な演奏を期待する時代ではないのかもしれませんが、凄いパワーです。とにかくNikki Glaspieはパワフルですよ。Sarah Thawerという人もかなりですが、ちょいと観ていて疲れるタイプです。Nikki Glaspieは音も好きですね。アタックの強いタムの音が好みです。
自分がざっと見渡したところ、十数本の動画が上がっておりましたが、まず目を引いたのがThomas Pridgenという人です。手数の多さはなかなか凄いレベルですが、やはりアタックが強く、音の粒立ちがいいんです。聴いていてきもち良いわけです。調べたところ、マーズ・ヴォルタのドラマーだったんですね。これまであまりご縁がなかった人ですが、今後チェックしてみようと思います。
もう一人、Ash Soanもいいですねぇ。好みです。英国のセッション・ドラマーですが、トレヴァー・ホーン人脈だと思いますけど、マイク・オールドフィールドのバンドでもお見かけしましたね。もうヴェテランの域ですが、このシリーズ、オマー・ハキムやデニス・チェンバースといった重鎮も出てきますから、若手を紹介するためのものというわけでもないのでしょう。…そういえば、スタントン・ムーアももう結構なヴェテランですね。まあ、アッシュ・ソーンは以前から知っていたドラマーでしたが、今回Zildjian Live!をしっかりチェックして、初めて彼の技量に気づいたようなものです。「こんなにうまい人だったのか」というのが正直なところです。
まあ、みんな上手いんですよ、ホント。でもこうやって十人なりのドラマーを集中して聴き比べると、タムの音色やノリ、ちょっとずらして打ち込むスネアのクセやらバスドラの刻みなど諸々の要素で自分の好みの音やらドラミング・スタイルが見えてきました。非常に面白い経験でしたね。少しでもドラムスがお好きなら、ぜひお試しあれ。