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7インチ盤専門店雑記675「別テイク1:Slide It In」
ホワイトスネイクの1984年リリースのアルバム「スライド・イット・イン」のアナログ盤が3種類手元にあります。ヘッダー写真の右から「American Remix Version」、米国通常盤、2012リマスター英国盤です。
収録曲目を見比べると、アメリカン・リミックスのみ収録された「Need Your Love So Bad」が2012盤でボーナス・トラックとして収録され、ようやく完成形を見たようなことになっております。言われなければ分からない程度でしょうが、アメリカ向けにどうリミックスしてシングル・カットしたかを聴き比べて検証するのは面白い作業です。
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結局メンバー一新してしまう次作が大ヒットしてしまいますから、この盤での試行錯誤が結実したということになりますかね。でもこの時期のメンツも好きなので、微妙な心持ちです。ドラマーがコージー・パウエル、キーボードはジョン・ロードという部分が大きいですけどね。ギターはメル・ギャレーとジョン・サイクス、ベースはニール・マーレーです。ブルース・ロックをベースとしたハードロックをやらせたら、世界最高レベルのメンツです。
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本来なら英国盤があればいいのですが、残念ながらこの盤は米国盤の見本盤です。アナログレコードの場合、技術的な問題もあって、オーディオ好きの間では、オリジナル盤の音がいいということは当然の事実なのですが、自分の場合、へそ曲がり的な理屈もさらにあって、リアルタイムで聴いていた、聴き馴染んだ音がイチバンという感覚もあります。結局当時ラジオやテレビなどから流れていたのはどんな音だったかが重要なんですよね。いくら音がいいからといって、違和感まみれでは懐かしさもへったくれもないもので…。恐らくアメリカ市場制覇を目指していたデヴィッド・カヴァーデイルは米国ミックスがデフォルトなのではということも考えてしまいます。
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加えてこのアメリカン・リミックス、6曲しか入ってないんですよ。33 1/3回転ですが、溝はゆとりを持っていますから、音はいいはずですよね。80年代は12インチ・シングルがいっぱいリリースされ、リミックスも世の中に溢れておりました。そんな時代にスペシャル・エディションでいい音の盤を出すのは、ある程度売れているアーティストの特権でしょう。ここまでもそれなりに売れてはいたけど、もう一皮むければというところだったのでしょう。
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そして28年もの歳月が経っても、この辺の音源は、魅力が失われることはありませんね。英国で2012年にリリースされたリマスター盤、当然音はいいでしょうよ。アナログ的な自然な鳴りか否かはかなりバラツキがあるようですが、さあどうでしょう。イベントで聴き比べをしてみるかなと考えているわけですが、違いが判れば面白いですよね。
1987年の「Here I Go Again」もシングルはアメリカン・ミックスなんですが、こちらはギタリストも違う全くの別テイクなので違いは歴然ですが、もう何回もかけてしまったので、さすがに気が引けます。今回はこの盤にご登場願おうかといったところです。