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7インチ盤専門店雑記781「まがい物?」

品出しをしていて、「これがオリジナル、これがちゃうヤツ」とか言いながら慎重にやらなくてはいけないのが映画関連の7インチ盤です。サントラって呼んでいいのかすらよくわかりませんけど、気をつけないといけない世界なんです。

「ロッキー」の印象的なテーマはオリジナルがビル・コンティ、一方ヘッダー写真の「ロッキーのテーマ」はリズム・ヘリテイジ版です。「まがい物」とは申しませんが、オリジナルではありません。

このリズム・ヘリテイジ、「反逆のテーマ Theme From S.W.A.T.」の大ヒットを持っているインスト系のファンク・バンドでして、マイケル・オマーティアンとかがバックについております。「反逆のテーマ」は大ヒットしただけに、恰好良いですし、音質も素晴らしい盤だったりします。まがい物とそうではないカヴァー曲の境界線は案外曖昧です。

こういう話題になると、どうしても忘れられないのが、「スター・ウォーズ」です。ジョン・ウィリアムス作曲の大名曲ですが、オリジナルの演奏はロンドン交響楽団です。一方、これをディスコ・アレンジにしたのがミーコでして、ややこしいことにこちらもナンバー・ワン・ヒットになってしまいます。40年以上前のことですから、時々は話題にして忘れられないように記憶の片隅に残しておくべきとは思いますが、果たして価値はあるのでしょうか?

もっと面倒なのが「コンボイ」でして、オリジナルはC.W.マッコールです。これも大ヒットしましたから、映画関連の売りボックスには入れておきたい一枚です。

そして、ややこしいのが、U.S.-Convoysという実在するのかしないかよく分からないアーティストの盤もあります。これ、フツーにまがい物として無視してもいい盤のような気もするのですが、やっているのが松任谷正隆さんでして、覆面プロジェクトと言うんですかね…。何だかなぁな一枚です。スリーヴもオリジナルに似せているような怪しさがあって、当然ながら好きにはなれない盤なんですが、やっている人がやっている人ですし、話のネタにはなりますから、一応一緒に入れてあります。まあ、オリジナルが売れるときにオマケでつけてあげようかなというところです。

リズム・ヘリテイジは、オーディオ・イベントで使いたくなるような良質録音ですから、この手の話題で持ち出すのは気が引けるのですが、それでもこういう情報は時々書いておかないと忘れられてしまいそうでねぇ…。とにかく、名前がリズム・ヘリテイジなのに、自分はリズムだけが気に入らないわけで、やはり何だかなぁ…なアーティストなんです。

その一方で、サブカル近現代史研究などと言っている方面から見たとき、昭和の怪しさ、明らかにまがい物と分かっていても見世物小屋的に成り立ってしまう、暗がりがあった昭和(特に「戦後」と言われる期間)という時代の空気感みたいなものが、懐かしくもあり、可笑しくもあり、…売れてしまった松任谷正隆という人物を見るとまたニヤリととしてしまったり、ポスト・モダンやら世紀末思想やらと一緒にして時代を語ると、意外にに楽しめますよといったところです。


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