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7インチ盤専門店雑記552「ナタリー・コール」

ナット・キング・コールの実の娘さん、ナタリー・コールですが、やはり非常に評価は高いシンガーです。お父さん譲りというべきなのでしょうか、天才的な歌の上手さを感じます。DNAがどうのというより、小さい頃からお父さんの音楽に接していたからということなのでしょうか。11歳で歌手デビューということですから、子どもの頃から上手かったのでしょう。

ナット・キング・コールは、コロナで営業自粛中にいろいろな曲を聴いて好きになったシンガーです。元はピアニストとしての評価だったということですが、この人の歌こそ天才だなと思います。お父さんの方はベスト盤とかもあるのですが、60年代にリリースされた4曲入りEP盤が何とも愛おしく、あえてそちらで聴いております。何だか当時の空気感を孕んでいるようで、EP盤で聴くというスタイルが好きなんです。

イベントでナタリー・コールの曲をかけるとしたら、やはり70年代のデビューしたての頃がいいですね。デビュー・シングル「ジス・ウィル・ビー」はいきなりの大ヒット、しかもグラミー賞の最優秀R&B女性ボーカル賞を受賞します。しかも同年は最優秀新人賞まで獲得してしまいます。翌年にはヘッダー写真の「ミスター・メロディー」が第5回東京音楽祭でグランプリを受賞します。77年には「あなたへの想い I've Got Love On My Mind」も大ヒットしました。

初期の2大ヒットをカップリングしたシングルです…豪華です
2年連続グラミー賞受賞!!

「ジス・ハート」は来日記念盤扱いですが、米国ではシングル・カットされたのか分かりません。ヒットはしていません。案外貴重な7インチかもです。

80年代に入りドラッグ禍等もあって活動のペースを落としてしまいます。それでも88年にブルース・スプリングスティーンのカヴァー「ピンク・キャデラック」のヒットで復活します。翌89年には「Miss You Like Crazy」の大ヒットも出ます。91年にはお父さんの曲のカヴァー集がまたまた大ヒットします。タイトル曲「アンフォゲッタブル」ではお父さんとオーバーダブでデュエットし、グラミー賞のソング・オブ・ジ・イヤーを獲得します。その後はC型肝炎からの腎臓移植手術やらのニュースも耳に入ってきましたが、2015年に心臓疾患で亡くなっております。享年65歳、ちょいと早いですね。

何だか結局親の七光り的な「アンフォゲッタブル」の大ヒットのせいで、お父さん抜きには語れない人に留まってしまったように感じますが、個人的には同年代的に聴いたナタリーの方にこそ思い入れがあり、実力があるのに父親関連でしか語られないことが不幸のように感じておりました。

二世アーティストって、どうしても親の呪縛から抜け出すのに苦労するようですが、「気にしなきゃいいのに」と言っても無理なのでしょうか?個人的にはジム・ディッキンソンの息子のルーサー・ディッキンソンとか、ボブ・ディランの息子のジェイコブ・ディランとか、ボブ・マーリーの息子のジギー・マーリーとか、親父抜きで十分に評価し得る連中ばかりなんですけどね。

繰り返しになりますが、七光りというよりは、小さい頃から良質な音楽を聴いて育ったという環境がもの言うように考えております。そこが一般人とは大きく違う部分なのではないでしょうか。

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