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7インチ盤専門店雑記667「グレート・カヴァー2:オールウェイズ・ラヴ・ユー」

「オールウェイズ・ラヴ・ユー I Will Always Love You」はカントリー・シンガーのドリー・パートンが1974年にリリースしたシングルです。73年リリースのアルバム「ジョリーン」からタイトル曲に次いで、年明けにリリースされたセカンド・シングルでした。

でも、この曲、ホイットニー・ヒューストンのカヴァーの方が圧倒的に有名ですよね。映画「ボディガード」で使われ、ホイットニーが歌いあげるアレですね。まあ、ここまで歌った人たちの人生を変えたカヴァーソングもそうあるものではありません。1992年以降は、完全にホイットニーの曲になってしまいました。カントリー・テイストを上手く排し、見事なラヴ・バラードに仕立て直していますね。

この曲に関しては、ボディガードの主演男優、ケヴィン・コスナーも一枚咬んでおります。ケヴィン・コスナーがリンダ・ロンシュタットの「Prisoner In Disguise」に収録されたカヴァー・ヴァージョンを愛聴していて、それをベースにホイットニーのテイクが作られたんですと。

さて、この聴き比べはちょいと辛いものがありまして、イチバン好きなリンダ・ロンシュタットのヴァージョンは、どちらかというとフツーのカヴァーですね。この人もカヴァーが多いシンガーですから、他人の曲を自分色に染め上げるのが上手い人です。この曲もリンダ・ロンシュタットの曲というテイストにはなっております。…しかし、しかしなんですよ、やはりシングル・カットしたような他のカヴァー・ソングと違って、このヴァージョンはフィラー(スペースを埋めるもの)的なアルバム収録曲のテイストがありますね。歌は上手いんだけど、キレイ過ぎるようなもの足りなさがあります。

作者のドリー・パートンも思い入れがある曲なのか、何度も録音することになります。1982Versionや1995Versionが存在し、作者版だけで聴き比べることもできます。またエルヴィス・プレスリーが歌いたいという話もあったようですが、曲の権利を半分よこせというプレスリー・スタイルに反発を感じてお断りしたというのも有名な話ですね。エルヴィス・ヴァージョンも想像してみると悪くはなさそうですが、まあ、断っておいてよかったのではないでしょうか。

この曲に関しては、その他に何人もカヴァーしておりますから、YouTube等で検索してみると面白いと思いますが、聴き比べに関して申しますと、個人的には作者版(ドリー・パートン)、最大ヒット版(ホイットニー)、そしてその他に昔聴き馴染んだヴァージョンがあればそれ(今回はリンダ)、という3種程度でいいと思うんです。それ以外のテイクは、いくら歌が上手くても、斬新なカヴァーであっても、意識が向かないと思うんです。斬新なカヴァーに関しては、ベースラインを取り出して、メインのメロディと掛け合わせてリメイクしたようなヴァージョンに面白味を感じることはあるのですが、成功例は少ないようです。

「オールウェイズ・ラヴ・ユー」に関しては、いずれも甲乙つけがたいものですが、やはりホイットニー・ヒューストンの曲になってしまったなという部分で、後出し有利なのではと思います。ただ、リンダもホイットニーも、歌い上げるタイプの曲が臭くならないところはさすがというか、もの凄くハイレベルなグレート・カヴァーだと思います。

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