7インチ盤専門店雑記340「B面の愉悦4:Billy Joel「ストレンジャー」」
2024年1月、ビリー・ジョエルが来日するそうですね。ドームでワンナイト・オンリー、行ける方が羨ましいような、「やめとけ、やめとけ」という自分もおります。結局一度もライヴは観ておりませんが、決して嫌いなわけではありません。ビリー・ジョエルが嫌いな人間は知りません。
この人の大ヒット・アルバム「The Stranger」もシングル・カットが面白いことになっております。大ヒット曲「素顔のままで Just The Way You Are」とB面が「Get It Right The First Time」でスタートするのは各国共通です。アメリカではセカンド・シングルが「ムーヴィン・アウト」B面は「Everybody Has A Dream」、サード・シングルが「Only The Good Die Young」B面がまた「Get It Right The First Time」です。4曲目のシングルが「She's Always A Woman」B面がセカンド・シングルの「ムーヴィン・アウト」なんです。そして5曲目としてアルバムのタイトル・チューン「The Stranger」がリリースされますが、そのB面は何とまた「ムーヴィン・アウト」なんです。
まあ、とにかく何が凄いって、5曲目は売れなかったと言っても、1~4曲目まではダブル・プラチナ、プラチナ、ダブル・プラチナ、プラチナです。…よく売れましたね。
一方日本では、大ヒット曲「素顔のままで Just The Way You Are」とB面が「Get It Right The First Time」でスタートは同じです。ところがセカンド・シングルは何とタイトル・チューン「The Stranger」B面が「ムーヴィン・アウト」なんです。そしてサード・シングルがアメリカでの4枚目「She's Always A Woman」B面はアメリカでのサード・シングル「Only The Good Die Young」です。この3枚で終わりなんです。とにかく、日本人の琴線に触れること間違いなしの「The Stranger」をセカンド・シングルとした日本サイドはエライと思います。実際に日本では大ヒットとなりましたからね。…ウチにも配るほどあります。
アメリカではシングル5枚で10面を使って7曲しかないわけですが、日本では3枚6曲、アメリカ盤にしかない「Everybody Has A Dream」は7インチ盤では聴けませんが普通にLPで聴ける曲です。まあ9曲収録のアルバムからこれだけシングル盤に絡むのはやはり凄いです。だって絡んでない1曲「Scenes From An Italian Restaurant」は7分37秒の長尺曲ですからね。ただ見方を変えれば、アルバム未収録曲で使えるものが無かったということになるのでしょうか。また、ライヴ音源をB面に収録するサービス精神はなかったのでしょうか。大量の名曲を書いたビリー・ジョエルのはなしですから、ちょいと不思議な気もします。
個人的な印象ですが、ソニー系はワーナーや東芝、A&Mなど、他社と比べてシングル・リリースに関して、やることが雑な気がしていけません。スプリングスティーンは未発表曲がいっぱいですけど、曲の出来不出来はなかなかのものですからね…。「B面の愉悦」的には、ネタの宝庫とも言えますかね…。