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7インチ盤専門店雑記881「オンリー・ザ・ロンリー」

ロイ・オービソンの「オンリー・ザ・ロンリー」です。韻を踏むタイトルが子どもの頃ですら「なるほど」と思いました。どうしても1964年リリースの「オー・プリティ・ウーマン」の人というイメージが強いのですが、この曲は最初のビッグ・ヒットというべき曲です。1956年にデビューして、1960年の10曲目のシングルでようやく売れました。それまでは、2ndシングル「Ooby Dooby」が59位まで行きますから、中ヒットでしょうか。59年の9作目「Uptown」が72位どまり、そして10作目「オンリー・ザ・ロンリー」が英国でナンバー・ワン、米国では2位まで行きます。

この曲、1960年の5月4日リリースということですが、録音は3月25日となっております。何でか詳細な日付がWikipediaにも掲載されております。実は自分が生まれたのが1960年3月23日でして、この時代の音源は意識して探しております。私が生まれた2日後にこの曲は録音されたわけです。今と違ってヴィンテージ系の機材でしょうが、十分いい音で鳴ります。どんな時代に自分は生まれたのかという程度の興味ですが、この時期の録音データやライヴ音源も極力集めております。…案外楽しいです。

ロイ・オービソンに関しては、「Black & White Night」という1987年に開催された超豪華メンバーによる復活ライヴの映像があります。ジャクソン・ブラウン、T.ボーン・バーネット、エルヴィス・コステロ、ボニー・レイット、J.D.サウザー、ブルース・スプリングスティーン、トム・ウェイツ、ジェニファー・ウォーンズ等々、錚々たるメンツです。そして、このライヴでのオープニングだったのが「オンリー・ザ・ロンリー」でした。モノクロ映像がいい味出しておりまして、参加ミュージシャンがまだ固い表情で丁寧に歌っている姿が微笑ましいです。

なかなかに悲劇的な人生を送った人ですが、こうやって豪華な面々に囲まれて復活ライヴなんかやってしまったときは、悪い人生でもないと思えましたかね。家族を次々失った悲しみの深さは他人が知れるものではありませんが、この後のトラヴェリング・ウィルベリーズ参加などもあって、晩年は少し楽しく過ごせたのではと思います。

ヘッダー写真の7インチ盤、妙に状態がいいもので、保存ボックスの方に収めようかと思っております。65年前のものにしてはグッド・コンディションです。サブカル近現代史を語る上でも、なかなかに素晴らしい一枚です。



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