7インチ盤専門店雑記661「マイ・クルー」
リタ・クーリッジの声がお好きな方は多いですね。リクエストはたまに入りますが、大きな音で聴きたいというものでもないですかね。話題にのぼり「かけますか?」と言っても、遠慮されることが多かったりもします。ベスト盤で「ウィ・アー・オール・アローン」とか「ハイヤー・アンド・ハイヤー」でもかけると思われてしまうんですかね。
ヘッダー写真は3rdアルバム「The Lady's Not For Sale」からのシングル・カット「マイ・クルー」ですが、この辺をかけてというご要望をいただくことは意外に少ないんです。でもかけていると「これ誰ですか?」と大抵訊かれるくらいにお客様の意識を引っ張りこんでしまいます。自分の中ではリタ・クーリッジの最も好きな曲なので、有名曲かと思っていたのですが、そうでもないらしいです。
そもそもアメリカでは「Fever」のB面曲なんです。それでもビルボードのアコースティック・チャートでは38位にランクインしております。「Fever」のほうはメインのチャートで76位でしたが、アコースティック・チャートの方はランクインしておりません。どうして日本ではA面なんですかね…。
レオン・ラッセルの関連人脈ということで、昔からよく聴いていた人ですが、大ヒット曲が特別好きなものでもなかったので、その辺から聴かなくなってしまいました。圧倒的に初期が好きなアーティストです。ただ全部が全部好きなわけではなくて、アルバムで言うと1、3、5枚目、それもスローな曲がいいですね。
さて、7インチ盤専門店的にはシングルを揃えておきたいところですが、恐ろしく手に入りません。ヒットした2曲は廉価盤ボックスに入っている定番ですが、初期のシングルを含め、それ以外は全然手に入りません。日本人のダンナさんがいた時期もあったり、日本では人気がありそうなんですけどねぇ。恐らくAORの歌が上手い人という捉えられ方なんでしょうか。70年代初期、マルチ・カルチャーを体現したアメリカーナの重要人物なんですけどねぇ。7インチ盤の玉数の少なさが何を物語っているかですが、一部のマニアックなリスナーだけのアイドル的存在なんですかね。
また個人的には、レオン・ラッセルの人気が急激な下降線を辿った時期ともシンクロしているようで気にはなります。というか、その辺から自分の中で一旦アメリカーナ的な音への拘りが薄れてしまったんです。リタ・クーリッジはAOR色を前面に出したら売れたわけですが、一方でレオン・ラッセルは結婚してウェディング・アルバムを出した頃から急に売れなくなります。ウィリー・ネルソンやエルトン・ジョンとのコラボは売れましたけどねぇ。結局自分は、レオン・ラッセルやリタ・クーリッジとかいった連中、もっと言えば、マーク・べノやドン・ニックスなど一連のスワンピーな人たちが、70年代前半にやっていたことが好きなんですけどねぇ。
ちなみに「マイ・クルー」の7インチ・シングルのB面は「Fever」です。この盤をABABと繰り返し聴いてみたところ、やはり日本では「マイ・クルー」がA面でよかったのではと思います。A&Mさん、グッジョブでした。