見出し画像

7インチ盤専門店雑記853「It's Never To Late」

井上堯之の1981年のアルバム「It's Never To Late」です。全曲井上堯之のオリジナルで、うち4曲でミック・テイラーがギターを弾いており、しかも結構いい演奏なので、ことあるごとに紹介しております。またそのせいか、しょっちゅういなくなります。正月にレコードの整理をしていたら出てきました。以前やっていたラジオ番組でもかけましたから、おそらくその時に未整理ボックスへ中途半端にしまったのでしょう。ラジオでかける時もめちゃくちゃ探しまくった記憶があります。不思議なもので、好きなアルバムに限って、よくいなくなるんですよねぇ…。ここのところ、noteのオフ会などでも井上堯之がよく話題に上っておりまして、この盤をお見せしたかったのですが、見つけられなかったんです。…自宅におりましたね。

ミック・テイラー参加盤なんですから、もっと中古盤市場に出回っていてもよさそうですが、滅多に見かけません。「どうせお付き合い程度にちょろっと弾いているだけだろう」とか思われていますかね?ミック・テイラーはほぼ全音源聴いておりますが、結構上位に評価している演奏がここには収録されていますよ。バリバリに弾いてますし、だいいちこのアルバム、音も良いんです。加えて、リチャード・ベイリーがドラムスを叩いております。ジェフ・ベックの「Blow By Blow」や「Wired」などで叩いていたり、後にインコグニートのドラマーになる人です。結構凄いメンツで作られているアルバムなんです。

さて、ミック・テイラーが弾いている4曲ですが、まずアルバム冒頭の「Walking With Mick」、いかにもミック・テイラーと演奏するために書かれた曲です。続く「Give Me Some Lovin'」もミドル・テンポの小気味よい曲で、ミック・テイラーの技が生かされた曲です。

一方B面の1、2曲目、「Yorkshire Pudding」と「Ascot Park」は、タイトルからして英国録音の喜びが作らせた曲かと思いますが、こちらは79年のミック・テイラーのファースト・ソロ・アルバムを想起させる曲調で、時期的なものもあるでしょうけど、非常に貴重な音源かと思われます。このアルバム、一曲一曲がブツ切れと言うか、アルバム全体が妙に流れないんですけど、その部分は井上堯之らしいとも思えるんです。一方で全面参加というわけではないミック・テイラーにとっては、都合がよかったのではないかとも思えるんです。

ミック・テイラーは翌1982年から活動拠点をニュー・ヨークに移し、ボブ・ディランに合流しますから、1981年に英国のアスコットで録音したのは偶然であれ、何であれ、非常に貴重なチャンスだったのではと思うわけです。

この辺の音源、YouTubeにも上ってないんですよね。何でなんですかねぇ…。

いいなと思ったら応援しよう!