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さらまわしネタ帳066 - スピリット・イン・ザ・スカイ

少し前にも「カヴァーセンス」について書きましたが、やはりグッドカヴァーを見つけると嬉しくなってしまいます。特に好きな曲のカヴァーが意外によかった時が最も嬉しいわけですが、ここ数年で最も嬉しかったのは「スピリット・イン・ザ・スカイ」でしょうか。

この曲のオリジナルはノーマン・グリーンバウム、1969年の中ヒットですが、嬉しかったカヴァーは1986年、ドクター&ザ・メディックスによるものです。しっかし、たった17年という時間の流れで、随分違った雰囲気ですな。これぞまさしく時代の空気感でしょうかね。80年代のキラキラした感じが、…さすがに笑えます。それにしても、ノーマン・グリーンバウムの写真は随分古臭く感じますね。

ノーマン・グリーンバウムはユダヤ教信者ですが、この曲の歌詞がキリスト教っぽいということで、よく引き合いにだされるものです。Wikipediaでも触れられていますが、本人はあまり考えないで作った曲みたいですけどね。まあシンプルなブギでヘヴィなギターが気持ちいい曲です。

ノーマン・グリーンバウムは1972年の「ペタルマ」というアルバムが、カントリー・ロックなどがお好きな方にとってコレクターズ・アイテムになっている名盤です。自分も入り口は「ペタルマ」でしたが、やはり最も気に入った曲は「スピリット・イン・ザ・スカイ」ですね。この曲だけ、彼のやっている音楽の中ではちょっと異質なんですけどね。

とにかくジム・クウェスキン・ジャグ・バンドの一員だったりします。古臭さが売りの人でもあります。華々しいショー・ビジネスの中にいるべき人ではないような気もします。「ペタルマ」は彼の農場があるカリフォルニア州の地名です。

さてドクター&ザ・メディックスは、日本語のウィキはありませんが、一応このカヴァーが英国でNo.1にはなっています。英語版のWikipedia では、グラムロックと書かれていますが、まあ、ポスト・パンク、ポスト・ニューウェーヴの文脈で語られることの方が多いのではないでしょうか。ビジュアルも手伝って、やはり1980年代のキラキラ感を体現しているような連中です。

そういう意味では、ギタリストが使っているペイズリー柄のピンクのテレキャスターは場違いな気もしますが、この曲に関しては、オリジナルに敬意を表して、当時人気だったペイズリー・テレキャスターを持ってきたとしたら、なかなか侮れないセンスなのかもしれません。ギター・サウンドの歪ませ方も上手くアップデートしているようで、なかなかにいいカヴァーです。

ノーマン・グリーンバウムのオリジナルがヒットした当時は、英国ではレコードがそのままラジオで流せなかったこともあり、スタジオ・ライヴやデビュー前のエルトン・ジョンのような上手い人たちがノン・クレジットでヒット曲をカヴァーした音源などがラジオで使われておりました。この曲にも、エルトン・ジョンによるカヴァーが存在しますが、今となってはご本人が存在を認めたくない音源らしいので、触れておくだけにしときます。

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