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7インチ盤専門店雑記852「非情の壁」

アトランタ・リズム・セクションの「非情の壁 Back Up Against The Wall」です。1979年リリースのライヴ・アルバム「Are You Ready!」からのシングル・カットですが、元々は1973年リリースのセカンド・アルバムのタイトル・チューンです。翌年のサード・アルバムは74位まで行きますし、そこからシングル・カットされた「Doraville」はビルボードで35位まで行く中ヒットになります。シングル的には77年の「So In To You」から快進撃が始まるわけですが、初期の音源はクオリティが高いものの売れませんでした。

アルバム的には「So In To You」を含む「A Rock And Roll Alternative」と「Champagne Jam」「Underdog」の3枚が大ヒット、それに続くライヴ・アルバム「Are You Ready!」もアルバム・チャート51位とそこそこ健闘しました。ただ、ここでそれまでの勢いは止まってしまいます。そもそも、スタジオ・ミュージシャンの集まりで、テクニックはあるのですが、ライヴ・バンドと言うほどではなかったように思います。それでもこのライヴ盤は大好きで、以前やっていたラジオ番組のライヴ盤特集でも取り上げたものです。

このライヴ盤、何が好きって、オープニングなんですよ。「タラのテーマ」が流れる中、バンドのイントロダクションが告げられ、ガツンと出てくる「Sky High」が無茶苦茶格好良いわけですよ。「非情の壁」は売れ始める前の曲ですから、バンドとして思い入れがあったのかもしれませんが、選曲ミスですよね。何で「Sky High」をシングルにしなかったかなぁ…。

この時期、ライヴ盤~のシングル・カットが多かったんですよね。おそらくピーター・フランプトンの「カムズ・アライヴ」とそこからのシングル・カットが大ヒットしたから、というのはあったと思うんです。スーパートランプもライヴ盤「Paris」からシングル・カットしまくっておりましたしねぇ。「Wings Over America」も影響してますかねぇ。あの盤もシングル・ヒットを産みましたからねぇ。

まあ、「非情の壁」は、ノリのいい曲ですからライヴでウケるだろうとは思います。でもこれをライヴ盤からシングル・カットしてもヒットするとはとても思えないわけですよ。何か勘違いしてますよね。マネジメント・サイドとかの問題ですかね?私個人的には、このバンドのシングル・ヒットはみんな好きですけど、このライヴの「Sky High」がそれ以上に好きなんです。演奏は文句なし上手い人たちですし、4分20秒過ぎからのスローダウンしてからのギターとか最高だと思うんですけどね。

このバンド、何だかやっていることがちぐはぐなんですよね。ヒット曲に関しても、アルバムからの3枚目のシングル・カットが大ヒットということを2度繰り返したわけですよ。…間抜けですよね。


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