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7インチ盤専門店雑記447「ジュリアン・レノン」

えー、ジュリアン・レノンです。ジョン・レノンの息子です。親父さんのことは置いといて、…と言われても難しいわけですが、世間的にはどんな評価なんでしょうね。私は何度も書いているように、ビートルズにはさほど思い入れはなく、ビートルズのメンバーではジョージ・ハリスンやポール・マッカートニーのほうが好きです。そんな私が最近あらためて評価しているのがジュリアン・レノンなんです。

1984年にリリースされたジュリアン・レノンのファースト「Valotte」ですが、マッスル・ショールズの名うてとニュー・ヨークの一線級がバックアップしております。凄いメンツです。バリー・ベケットにロジャー・ホーキンスにデヴィッド・フッドです。NY側はマーカス・ミラーやマイケル・ブレッカーといった連中です。トゥーツ・シールマンスのハーモニカがフィーチャーされた「トゥ・レイト・フォー・グッバイ」なんてのもいい曲です。

でも最近しょっちゅう聴いて「いいなあ、コレ」となっているのが、アルバムのタイトル・チューンで、ファースト・シングルとなった「ヴァロッテ」です。

全米、すなわちビルボードでは6位まで行っておりますが、英国では55位どまりなんですと。ちなみにアルバムは米国17位英国19位で、結局アメリカの方が高く評価されたわけですね。まああまり英国の音ではありませんね。でも不思議なもので、自分はこの人の声やメロディの一部に英国を強く感じるんですけどね…。

しかもこれ、Charismaからリリースされているんですよね。ジェネシスとかのあのCharisma…。ちょいとかけ過ぎやんと言いたくなるエコーは84年ですからお許しをというところでしょうか。ただこれはプロデューサーのフィル・ラモーンの影響でしょうか。おそらく親父さんの音も影響しているかと思います。フィル・ラモーンのプロデュースだから売れた気もしますが、もっとアメリカンな残響音、例えばダニエル・ラノワあたりのプロデュース・ワークだったら…などという贅沢な想像もしてしまいます。…ブライアン・イーノだったら…。そんなわけで100%満足しているわけではありません。

でもねぇ、やっぱりいい音で鳴るんですよ、コレが。特に7インチ・シングル。何じゃこりゃ的な高音質盤です。ゲインも大きくてビックリします。もう一枚、以前にもご紹介したことがある、デイヴ・クラーク・ファイヴの「ビコーズ」のカヴァーもありますが、これも相当にいい音です。「Time」というミュージカルで使われたものですが、これは間違いなく名カヴァーです。いろいろゴタゴタした盤らしく、あまり売れてはおりません。勿体ないはなしですね。

アルバム「ヴァロッテ」は参加メンバーが誰かは書いてあるのですが、どの曲で誰が演奏しているかは分かりません。音から判るか試してみようかと思いつつ、なかなかそこまで集中できておりませんが、繰り返し聴いても飽きないどころか、さらに興味が湧いている状態ですから、しばらくはそんな遊びをしていることでしょう。

アルバムのライナーにsome personal thanks to: という欄があるのですが、一行空けて最後に「And to my Father…」とあるのが、やはり悲しくなりますね。

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