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7インチ盤専門店雑記622「Unfinished Business」

テレキャスターの名手、ダニー・ガットンですが、やはりアナログレコードで(聴けないけど)聴きたい筆頭候補です。猛烈なテクニックは誰もが認めるところでしょうし、カントリーやロカビリーとかいったいろいろな要素が混ざっている音楽がお好きな方には堪らないギタリストです。ご本人は「レッドネック・ジャズ」と称していらしたようですが、ブルース、ジャズ、カントリー、ロカビリーの融合といったところでしょう。レッドネック・ジャズというのは1978年リリースのセカンド・アルバムのタイトルでもあります。ヘッダー写真は1987年の3rdアルバム「Unfinished Business」ですが、随分間があいておりますな。

世間的には91年の「88 Elmira St.」と93年の「Cruisin' Deuces」が名盤ということになっております。…ですから、アナログレコードで聴くことは難しいわけです。鬱病だったということで、94年10月に銃で自殺しておりますから、生前のアルバムは6枚ほどしかありません。死後にいろいろなコンピレーションCDがリリースされますが、マスト・アイテムと言うべき特別なものはありません。やはり91年と93年のアルバムがいいでしょうね。

アルバムの裏ジャケに使用機材を細かく書き記すあたり、やはりそういう聴き方をするべきものなのでしょうか?個人的には、そういった部分も含めて楽しめるものですが、人によっては「なんじゃ、こりゃ」でしょうかね。まあヴィンテージ・ギターにヴィンテージ・アンプ、そこまでは理解できます。個人的に面白いと思ったのは、テレキャスター以外のギターも弾くんだということ、しかもギブソンのチャーリー・クリスチャンのオマージュとわざわざ書いているハコものを使っていることでしょうか。ダニー・ガットンのアルバム・ジャケットで、ジャズ・ギターの祖、チャーリー・クリスチャンの名前が出てくるところは特別面白いかと思います。

ギターと同様、クルマもお好きだったようで、この盤のジャケットにもクルマが登場します。ビリー・ギボンズやジェフ・ベックやジェームス・ヘットフィールドの例もありますが、ギタリストでクルマがお好きな方は多いですな。イメージ的にも、音楽の題材にし易いのでしょうか。そういう部分も含め、失礼ながら男性ウケは良さそうですが、女性にはモテないタイプかとも思います。上記3人も男性ファンの方が多そうですよね。

最近、たまに水木しげるの「猫楠」をパラパラ読んでおりまして、南方熊楠の伝記みたいなマンガですが、どうもイメージがダブっていけません。好きなものには徹底的に突き進む姿に共通点を見出しております。しかも興味の対象が意外に幅広く、妙にディープで時代を先取りしており、後々世の中の評価が追いついてくるようなところまで似ています。ダニー・ガットンの場合は、悲劇的な最後となってしまいましたが、好きなものには徹底的に没頭し、突き進む人生は羨ましく感じるところもあります。

以前にもアチコチに書いているのですが、ダニー・ガットンに関しては、バディ・ホリー・カヴァーの「It Doesn't Matter Anymore」が大好きなんです。…とりあえず今回もリンクは貼っておきます。


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