見出し画像

7インチ盤専門店雑記680「別テイク5:Bringin' On The Heartbreak」

デフ・レパードの「Bringin' On The Heartbreak」、初期の好きなバラード曲です。この曲は2度シングル・カットされました。まず1981年のアルバム「High 'n' Dry」収録曲で「Let It Go」に次ぐセカンド・シングルとしてリリースされますが、英米で鳴かず飛ばずです。前年1980年の「Hello America」で注目されていたものの、シングル・ヒットは続きませんでした。今となったら次作「炎のターゲット Pyromania」が大ヒットするわけで、もう少しの辛抱というのが分かるのでしょうが、ブレイク前の辛い時期でしょうか。

1983年は「Pyromania」の大ヒットとともに、シングルも3連発でヒットしました。「Photograph」「Rock Of Ages」「Foolin'」ですね。年間を通して確たる人気バンドの地位を確立しました。ところが1984年2月にドラマーのリック・アレンが事故で左腕切断という不幸に見舞われます。それでもメンバーチェンジせす、彼の回復を待って活動継続、1987年「ヒステリア」の特大ヒットに繋がるという経過を辿るわけです。

そこで、1984年6月に「Bringin' On The Heartbreak」をシンセサイザーを多用したようなアレンジで再度リリースします。実は1982年に創設メンバーだったギタリストを飲酒問題で解雇しており、新たにフィル・コリンが加入しております。バンドとして時間があることもあったのでしょうが、フィル・コリン体制になる前のシングル曲でリメイクしておいた方がよかろうという判断なんでしょうかね。

シングル盤の謳い文句は「あの幻の名曲がフィル・コリンのギターによって再び甦った!」とあります。…幻の名曲だったんですかね。LPでフツーに聴けますから、幻ではないと思いますけどね。加えてフィル・コリンのギターによってとありますが、そこじゃないだろ…と思うんですけどねぇ。リック・アレンの事故もあって、時間があるなら米国マーケットの攻略に必要なことは何か研究した結果ではないですかね。

とにかく好きなバンドです。大ヒットの後も、さほどハイペースではないタイミングでアルバム・リリースを続け、むしろ本当に自分たちの好きなことをやっているようなかつどうを続けてくれました。グラムロック曲をアップデートしたような演奏は、最も好きなあたりです。…7インチ盤専門店をやっているということでも、お分かりいただけるかと思います。

彼らの曲で何がイチバン好きかというと、大ヒットした「シュガー・オン・ミー」といった、如何にもなギター・ロック・チューンも好きですが、バラード系に特に魅力を感じます。映画「ラスト・アクション・ヒーロー」でも使われた1993年の「Two Steps Behind」あたりがいいかもです。そういった意味で、「ブリンギン・オン・ザ・ハートブレイク」は好きな路線ですし、こういった曲に拘ってリメイクするこのバンドのスタンスそのものが好きなのかもしれません。「Two Steps Behind」も複数ヴァージョンありますしね…。


いいなと思ったら応援しよう!