7インチ盤専門店雑記342「B面の愉悦6:ラリー・カールトン「昨日の夢」」
ラリー・カールトンの「昨日の夢 (It Was) Only Yesterday」、日本では非常に人気がある名曲「ルーム335」のB面です。どちらも1978年の「夜の彷徨 Larry Carlton」収録で、ご存知「ルーム335」はアルバム冒頭を飾る曲、一方「昨日の夢」はアルバムのラストを締める曲です。B面には面白い曲がいろいろ隠れておりますが、こういういかにもなB面曲的佇まいも好きでして、実に座りがよろしいかと思います。
ラリー・カールトンのギターを思い切りフィーチャーしたスロー・バラードですが、ヴォーカル・レスなのがここではまたよろしいかと思います。ヴォーカルがあったりなかったりする人たちのシングルB面ってヴォーカルがない場合が非常に多いんですよね。B面ってそういう立ち位置なのかなとも思いますが、「昨日の夢」はそれに加えて、後に残るふくよかな余韻を持った曲でして、A面にくる曲ではありませんが、これがB面にあると嬉しい曲です。
個人的にはラリー・カールトンは多彩な音色が好きなんです。…皆さん同じですかね?ここでは渋めの単音でチュルチュルやっておりまして、こういうギターも弾くかといったイメージですが、プリズムの和田アキラを彷彿とさせると言ったら逆ですかね。でも和田アキラの音色やスタイルはあれで確立しておりますからねぇ。ラリー・カールトンはちょいと器用貧乏なところもあるように思えてなりません。何でも上手く無難にこなせてしまいますからねぇ…。スティーリー・ダンも、クルセイダーズも、ギターの個性で聴かせる音楽ではないですが、でもいいギターが鳴っているんですよね。案外B面曲を作らせたら天下一品かもしれません。