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7インチ盤専門店雑記759「マイケル・ブレッカー5:ジャズ・サックスの第一人者」

1996年のマイケル・ブレッカー「Tales From The Hudson」は個人的には超が付く問題作でした。ここに収録されておりました「Song For Bilbao」、何回聴いたでしょうか。もう思い切りハマりました。50年代60年代のブルーノート等にハマりまくった後でしたが、現代ものもいいねとなり、古いものが聴けなくなりました。

最初にジャケットを見た時、参加ミュージシャンが記されておりますが、何じゃこりゃ?という感じでしたねぇ…。「おお、パット・メセニーじゃん」という喜びと、ジャック・デジョネット、デイヴ・ホランド、マッコイ・タイナーといったヴェテランが共演しているわけで、まだやっているんだ…、大丈夫かいなという部分ですね 。

音を聴けば納得のもろジャズなわけです。パット・メセニーから想像する音ではなくて、フュージョン色が全て抜け去ったジャズ・アルバムでしたからねぇ…。でも音が現代的でしっかりアップデートされておりましたから、凄い、凄いとなりましたねぇ…。さすがに評判もよく、グラミー賞も受賞しております。まあいわゆるジャズ・サックスの第一人者として認められたということでしょうか。

お次の98年リリース「Two Blocks From The Edge」は趣向を変え、若手を中心に作られたアルバムでして、前作同様ではありますが、ピアノのジョーイ・カルデラッツォがいい仕事をしております。ただここにはパット・メセニーの名前がありません。スケジュールですかね?彼は87年の「Michael Brecker」セルフ・タイトル・アルバムのときもいい演奏を聴かせておりますし、仲がいいんですかね。この後がね…。

1999年の「Time Is Of The Essence」やら、2001年「Nearness Of You」あたりは、パット・メセニーがかなり中心的存在でセッションを仕切っているように思われます。「Nearness Of You」ではプロデューサーまで務めておりますからね。ただこのアルバム、ジェームス・テイラーも参加しておりますし、ハービー・ハンコック、チャーリー・ヘイデン、ジャック・デジョネットというヴェテラン組ががっちり脇を固めており、素晴らしい出来でした。歌伴でもジャズ・ヴォーカリストではなくてジェームス・テイラーを引っ張り出すあたり、さすがオール・ラウンド・プレイヤー、マイケル・ブレッカーの個性です。

2003年の「Wide Angles」は直ぐによさが理解できなかった一枚ですが、今となっては結構好きな盤になってしまいました。ここでギターを弾いているのは、ノラ・ジョーンズの初期やマンデイ満ちるあたりのアルバムで非常に評判になったアダム・ロジャースです。後に彼の音源を追っていて再度聴いて「あれ、こんなに良いアルバムだったか」となりました。

そして、具合が悪いというニュースが流れ始め、2007年の年明けに亡くなってしまうわけですが、最後の録音になる「Pilgrimage」は涙なくしては聴けないので、あまり聴いておりません。ミレニアム頃からの怒涛のジャズ・アルバムがあまりにクオリティが高く、安定感に満ちたマイケル・ブレッカーの演奏はもう完璧ですから、早すぎる死が残念でなりません。


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