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7インチ盤専門店雑記658「アフィニティ」
ビル・エヴァンスに関して、「何がイチバン好きですか?」という会話は随分繰り返しました。ありきたりな「ワルツ・フォー・デビー」あたりで済ますことが多いわけですが、内心「決められるわけないでしょ」という自分もおります。時々ひねくれて「アフィニティ」などと言うこともありますが、これは半分本音でもあります。大量にあるピアノトリオのアルバムを聴きまくった後にコレを聴くと、トゥーツ・シールマンスのハーモニカの音色にめちゃくちゃ引き込まれます。…でも「アフィニティ」と答えると、「それは逃げだ」と突っ込んでくる人もいましたっけねぇ。
確かにピアノトリオではありません。大半の作品がピアノトリオのビル・エヴァンスを、真っ向から評することができませんからね。しかも多くの曲でエレピを弾いておりますし、トゥーツ・シールマンスとの絡みが独特の空気感を持っていて、他の作品とは別世界のものです。
加えてイントロデューシング・マーク・ジョンソンです。彼のお初のレコードです。聴きどころはいろいろあるにしても、ビル・エヴァンスのピアノがどうのというアルバムではありません。…では「ビル・エヴァンスのピアノトリオでは何がイチバンですか?」と言われたら、…そんなの決められるわけありませんよね。一応全部聴いているんですよ、オリジナル・アルバムとしてリストアップされているものは。…CDですけどね。
世の批評だって、やれスコット・ラファロの時代がどうのとか、真正面からピアノの演奏を評していませんよね。総じてクオリティが高いわけで、優劣なんてつけられませんよ、ホント。人気曲を集めたと思われるコンピレーションの方が、聴いていて楽しかったりして…。
結局好みの問題なのではありませんかねぇ。好きな曲をやっている盤がイチバンじゃないですかねぇ。私の場合は、そうなると「グリーン・ドルフィン・ストリート」になりますかねぇ。「ブルー・アンド・グリーン」もいいなぁ…、やっぱり「ワルツ・フォー・デビー」もいいなぁ。「グランドファーザーズ・ワルツ」のピアノも好きですけどね、私はスタン・ゲッツはあまり好まないので、イチバンとは言い難いですしね…。おっと、ピアノトリオじゃないや…。
ここのところ、あまり多くはないビル・エヴァンスのアナログレコードが何枚か売れました。オビ付き国内盤とか、どれくらいの相場なのか知りませんが、大事にしてくれそうな方のもとへ送り出してあげた方がレコードにとっても幸せでしょう。どうもリアルタイムで聴いてきたものではありませんから、アナログレコードで聴きたいという欲求があまり無いんでしょうね。それに、やはり作品が多すぎて、流れていてもビル・エヴァンスだということは分かるのですが、どのアルバムかはほとんど分かりません。「ワルツ・フォー・デビー」くらいは分かりますけどねぇ…。そういう意味では、イチバンは「ワルツ・フォー・デビー」なんでしょうか。
トゥーツ・シールマンスについては、またの機会にしますかね。最晩年のライヴ、観ているんですよね…。長くなりそうですから…。