7インチ盤専門店雑記584「Sgt. Peppers Lonely Hearts Club Band」
えー、私が語るまでもないビートルズの大名盤「サージェント・ペッパーズ〜」です。先日お客様からリクエストがありまして、久々にアナログレコードでしっかり聴きました。デジタルでは時々耳にしていたものの、アナログレコードでは数回しか聴いたことがありませんでした。…やっぱりいいですよね。名盤、名盤。
どういうわけか、国内盤が2枚手元にありまして、東芝音工盤と東芝EMI盤です。色味が随分違うので驚きました。…というか、東芝EMI盤、随分粗いジャケットだったんですね。こうやって重ねてみると、ビックリするほど質感が違います。そもそもジャケットのコーティングも違いますし、音工盤の方が随分薄いんです。質感が英国盤に近いのは音工盤の方ですね。
2枚あると、どうしても比べたくなるのが人情でしょうか?私は某よっしーさんのように英米日の聴き比べをやるほど、このレコードに愛着やら思い入れがあるわけでもなく、たまたまなのですがつい聴き比べたところ、やはり音工盤が素晴らしいと申しましょうか、音質的にも結構な違いがありました。アナログレコードですから、原則的に古い盤の方が音が良いということになります。ただしビートルズの場合、年代の割りに録音が優れているとか、資金的な余裕が音にも出ているとか言われておりまして、何を聴いても音が良いというのも事実です。そのビートルズを聴き比べて意外にも違いがわかってしまうんです。
気になってしまい、ついつい盤を見比べてみたところ、…おやおや随分違いますね。内周の無音部分を見るだけでも、音工盤は随分狭いわけで、つまり音工盤の方が溝が太いんですね。以前ディープ・パープルの「紫の炎 Burn」の7インチ・シングルで、溝の太さが随分違う盤があり、発売後直ぐにJIS規格導入の影響で、プレスし直しているということだったのですが、これも同様の事情なんですかね?まあとにかく溝は深くて太い方が良いということは、経験上わかってきましたが、随分違うんですね。音工盤くっきりしゃっきり低音も豊かに鳴っております。だいいち、音がデカいです。一方のEMI盤、どうも米国マスターらしいのですが、音工盤と比べてはいけないものなんですかね?個体差もあるかもしれませんが、手元にある音工盤、状態が良すぎて気持ち悪いくらいの盤なんです。
ちなみに、このレコードのジャケットに写っている人物やら置物やらの特定作業はもの凄いレベルで行われているんですね。まあビートルズ・ファンという人種に関しては、レコ屋である私は特別視するところもありまして、「何でそこまで好き?」と言いたくなるような方ばかりです。この盤も東芝音工盤とEMI盤は当然両方持っていらっしゃるんでしょうね。溝の太さの話題なんぞ「いまさら」と言われてしまうのでしょうか?
最近レコ屋という自覚も出てくるほどに売れてますから、聴き比べの経験値も上げて行かないといけないのかなと思うところもありましてね。ただ英国盤と比べてどうのと言われると、英国盤の音がいいのは当たり前という気もしますし、個人的には1967年5月6月の空気、日本では7月の空気感が少しでも感じられるものという部分に面白いネタはないかと考えてしまいます。
例えばここのジャケに写っている福助人形は、ジョン・レノンが来日時に警備の目を盗んで表参道で購入したものだとかいうネタもウェブのあちこちに載っているわけですが、何故ラッキー・アイテムとしての福助人形が登場するのか、何故ブタではないのか、宗教的な意味合いはないのか、随分可愛くない昔風の顔つきですけどいつの時代のものなのでしょうか?…調べたいことがいろいろあるにはあるのですが、「いまさら」という気もしましてね…。
ただこの音工盤が何者なのかは、もう少し見極めてみたい気はします。
「Getting Better」のギターのカッティングが暴力的なまでに凄くリアルに鳴るんですよ。…そこだけ聴いても、「おかしいな、ヘンだな」と感じてしまうんですけどね…。CDなんかよりも、遥かにいい音で鳴ってますね…。