7インチ盤専門店雑記612「STEALERS WHEEL」
今月の初旬にジョー・イーガンが亡くなりまして、久々にR.I.P.記事を書きましたが、今月はさすがにスティーラーズ・ホイールを聴く機会が多かったように思います。好きなアーティストが亡くなったときくらいは、聴いてもいいでしょう。でもそれほど音源が多いわけではありませんから、同じ盤を繰り返し聴くことになってしまいましたけどね。
スティーラーズ・ホイールに関しましては、7インチ・シングルは1枚しか持ってません。そもそも大好きな曲が2曲ありまして、その2曲がAB面という、実に有難い7インチ盤があるんです。それにしても、意外なことに、大ヒット曲「スタック・イン・ザ・ミドル Stuck In The Middle With You」がB面です。A面は最も好きな「恋はハートで You Put Something Better Inside Me」なんです。…酷い邦題です。
「スタック・イン・ザ・ミドル」がA面の7インチももちろん存在しますが、実は「恋はハートで」が2ndシングル、大ヒット「スタック・イン・ザ・ミドル」が3rdシングルなんです。そして両方の7インチ盤ともスリーヴのイラストは同じものです。このイラスト・スリーヴが非常に残念な代物なんです。何故ならLPのジャケットの真ん中あたりを繰り抜いたように上下左右を切り取ったものなのですが、これではLPジャケットのイラストが台無しなんです。というのも、このイラスト、騙し絵のように「STEALERS WHEEL」という文字列がいくつも隠されているんです。私は10コまでみつけましたが、まだあるのでしょうか…。それが7インチ盤は無残にも周辺が切り取られているので、わけが分からないことになっているんです。
まあ、それでも大好きな曲です。存在していてくれるだけで嬉しい代物でもあります。手元の盤は局にでも渡ったサンプル盤なのか、「恋116」などというシールが貼られていたりしますが、音は素晴らしいものです。知る人ぞ知る「あまりにもビートルズ的な曲」なわけですが、私個人はビートルズに思い入れがないせいか、コチラの方が全ビートルズ楽曲よりも好きだったりします。そもそも、ジェリー・ラファティ絡みの楽曲は湿り気が多く、体調がよい時でないと聴けないようなところもありますが、どういうわけか、子どもの時分から大好きなんです。
ジャケットのイラストも好きでして、ジョン・パトリック・バーンという人物が描いております。教会のデザインをしたりもする芸術家さんのようです。ビートルズのコンピレーション・アルバムのジャケットも一枚描いておりまして、元々は「ホワイト・アルバム」用に描かれたものだったようですが、ボツになったそうです。そう考えると貴重ですよね。まあ、スティーラーズ・ホイールはこれだけ似た構図のイラストですから、そのオリジナル的存在がビートルズにあると考えれば、なおさら貴重な盤なんですけどね。
この「The Beatles Ballads」、日英メキシコ他全12か国で発売されたようですが、どういうわけかアメリカではリリースされないという意地悪なことになってしまいました。アメリカの皆さんは、高値を承知で探していらっしゃる盤です。ウチには3枚ありましたが、2枚売れましたので、残る1枚は自宅に持ち帰りました。…ウチのお店でこの盤を見つけたツーリストと思しきオネエサン、本当にうれしそうでしたね。鳥の羽ばたき音のSEが被っていたり、ちょいとレアな音源も含まれているんですけどね。
本来なら真夏に聴く音楽ではない気がしますが、涼しくならない一方で決して暑苦しいものでもないので、いつまでも聴いていられます。少しジェリー・ラファティのソロでも聴いてみますかね…。