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7インチ盤専門店雑記634「ニュー・ソング/オールド・ソング」

先週、常連さんが音楽好きの同僚さんを連れていらっしゃいまして、なかなかに楽しい時間を過ごさせていただきました。ディナータイムはスタッフ君がお盆で故郷に帰っているので、本来なら臨時休業となるところでした。せっかくですから貸切りにして、思い切り音出しできる環境とし、一緒に楽しませていただきました。

事前に70s80sのシャウト系女性ヴォーカルなどというリクエストもありましたが、結局80sプログレやらビートルズやら、かなりバラエティに富んだ選曲となりました。こういうのはやはり楽しい時間です。ついついあれこれ引っ張り出してきてはかけまくり、店の中のアチコチにレコードの山や在庫ボックスが積み上がることになりますから、とでもオシャレなカフェなどという風情ではありません。…おもちゃ箱ですね、やっぱり。

さて、リクエストにお応えした中で今回はハワード・ジョーンズの7インチ・シングルの鳴りが印象に残りました。1980年代、MTV、ベストヒットUSAの時代を象徴するアーティストの一人です。散々テレビから流れてきた曲の数々、あの時に10代20代だった洋楽好きにとって忘れられるものではありません。

まず聴いたのが、彼のデビュー・シングル「ニュー・ソング」でした。ちょいとキモチ悪いダンス・パフォーマンスも忘れられませんが、70sの残り香すら完全に消し去ったリアル80sシンセ・ポップのグッド・メロディが耳の奥にこびりついております。もう40年も前の曲だということに内心驚きつつ、他の誰にも似ていないメロディを量産したことに敬意を表したくなります。

この楽器の音ではないにもかかわらず、しっかり低音成分が含まれた録音が驚きの鳴りで蘇るわけで、「音がいい」ということで納得しておりました。ここらで次回のイベントが「80年代」ということもあり、ついつい脳内で選曲しておりました。ティアーズ・フォー・フィアーズ、ヴァン・ヘイレン、TOTO、ベリンダ・カーライル、エイジア…、本当にいい時代でした。

新しいものに何の躊躇いもなくとびついて行けました。今現在、新しいなと思えるアーティストっていますか?ラーキン・ポーももうデビューして随分経ちましたし、今イチバン新しい感性と思うのは英国のシンガー・ソングライター、サンファでしょうか。でも彼のデビュー盤ももう7年前、2017年ですね。時の流れの速さについて行けてない気がしますね。…サンファ、もう35歳ですって。でも今現在、新しい感性などということを考えるとき、真っ先に出てくるのは彼ですね。

そしてやはり、新しいものに飛びつけない自分を強く認識します。古いものばかり、アナログレコードで聴いているので当然ですよね。そのことで自分の人生の歩みを振り返り、老後の不安などに惑わされることなく、終活に邁進することもやりたかったことです。無理して新しいものを聴くのではなく、古いものの記憶の整理や、古いものでもリアルタイムでは魅力に気付けなかったものをあらためて楽しむことの方が時間の使い方として正しい気がします…。何はともあれ、YouTubeという最強の助っ人があるわけで、もっと時間の使い方を工夫しろと自分自身が申しております。

そんなわけで、昔高校の同級生たちがやっているバンドに加えてもらった頃の記憶なども辿っておりました。キング・クリムゾンの曲からとったエピタフなどという、時代を感じさせるバンド名でした。…ふと、最近「エピタフ」を聴いてないなぁと思い、YouTubeで検索したところ、めちゃくちゃ懐かしい「エピタフ」のカヴァーがアップされておりまして、YouTube恐るべしとなっております。当時全てが目新しいものでも、貪欲に吸収していった自分がいたわけですが、自分を洋楽固定にした原因の一つだったような記憶まで蘇ってきました。でも今振り返ると案外面白かったりします。ついでに見つけた謎のザ・ピーナッツもありましたから、リンクを載せておきます。…いやあ、夏休みの自由研究気分になってきましたよ。

ホントに新しいものを聴いている余裕なんてありませんって。


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