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7インチ盤専門店雑記256「Extended Play」
クリッシ―・ハインド姐さん率いるプリテンダーズのファースト・アルバムとセカンド・アルバムの間にリリースされた12インチです。こらこらといったタイトルですが、ウマいですね。これ、「●●●大好き~」とか言われたときに「コレ、持ってる?」と訊いてへこませるタイプのレア盤、貴重盤、重要盤というヤツですね(何のこっちゃ…)。今となっては、すべての音源が他の盤でも聴けるようになったと思いますので、お値段的な部分では落ち着いたと思いますけど…。
この12インチ、如何せん英国では発売されませんでした。米国他でのみリリース、そしてセカンド・アルバムに収録されることになる「Message Of Love」と「Talk Of The Town」の2大名曲が収録されております。英国ではシングルのB面になったアルバム未収録の「Porcelain」と「Cuban Slide」も収録されていますから、昔は大変貴重な盤だったんです。「Cuban Slide」は日本ではシングル・カットもされているので、さほど入手困難な曲でもないんですけどね。残る1曲「Precious」のセントラル・パークでのライヴ音源は、後々未発表音源状態が解消されますが、それでもいつの音源だという情報が錯綜してゴタゴタした記憶がありますね。…まあ、もうアナログの時代ではないといわれた時期のはなしです。
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何はともあれ、悲劇のバンドです。非常に人気の高いファーストとセカンドの時期のメンバーのうち、リード・ギターのJames Honeyman-ScottとベースのPete Farndonが立て続けに他界してしまいます。だから、このバンドに思い入れのある方々は、「ファーストとエクステンデッドとセカンドの3枚は特別なんだよ」という言い方になるわけですね。まあ、私の場合、「Message Of Love」がこの連中の最も好きなナンバーなので、同様の物言いになってしまいます。
「Message Of Love」に関して、Wikipediaでは以下のようにサラッとだけ触れておりますが、ここが大変重要なんですけどね…。以下に引用しておきますが、…ちゃんと書いといてよ、というやつですね。
"Message of Love" contains the line: "We are all of us in the gutter, but some of us are looking at the stars" from the Oscar Wilde play Lady Windermere's Fan.
オスカー・ワイルドの「ウィンダミア卿夫人の扇」という喜劇に出てくる一節なんですと。でもこれ、デビューしたてで、ようやく注目され始めたときに録音した曲の歌詞と考えると、なかなか感慨深いものがありませんか。「みんなドブの中の住人さ。でもそのうちの何人かは星を見つめているんだ」ということなわけで、パンクの大波後にポコポコ出てきたニューウェイヴの連中は本当に玉石混交だったわけで、ニューウェイヴに擬態してデビューしてきたような、ザ・ポリス、プリテンダーズ、ジョー・ジャクソンあたりは拘ってみる価値がありましたし、今更にディグしていても面白い連中です。ま、知的な要素というか、素養をチラ見せするような歌詞は、只者ではない感を演出する上で、悶絶ものの上手いやり方ですね。