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7インチ盤専門店雑記872「Bump In The Night」

イアン・マクレガンが1981年にリリースしたアルバム「バンプ・イン・ザ・ナイト」です。イアンはスモール・フェイセズ~フェイセズのイメージが強いですけど、その後のセッション・キーボーダーとしての活動も充実しており、忘れられるものではありません。一方でソロではあまりヒットはしていないのですが、頗る良いアルバムをリリースしてくれました。1979年の「Troublemaker」も大好きなアルバムですし、「Bump In The Night」も楽しいアルバムです。

やはりどうしてもクレジットに目が行ってしまいます。基本的にバンド形態の活動が好きなのか、少数精鋭で作り上げるタイプでしょうか。そこにフェイセズやローリング・ストーンズあたりのお仲間がゲスト参加しますから、その辺の音源が好きな人間にとっては堪らない盤だったりします。まあ、ロン・ウッドあたりは必ず参加しているようなものです。…仲がいいんでしょうね。

ギターは前作同様Johnny Lee Schellが中心ですが、彼も他での活動が目立つものではありませんが、いいギターを弾きます。ドラムスはRicky Fataar、ボニー・レイットやボズ・スキャッグスあたりでの演奏が有名ですかね。ドラマーと言いつつ実はマルチ・プレイヤーです。ここではベースやピアノも弾いていたりします。

そしてメインでベースを弾いているのが小原礼さんです。サディスティック・ミカ・バンド~スカイあたりが有名でしょうか。尾崎亜美さんのダンナさんですね。尾崎亜美さんをフィーチャーした桃姫バンドなんてのもありましたね。80年代は活動拠点を海外に移しておりましたから、あまり名前を聞かなくなっておりましたが、あちこちで印象的なベースを聴かせております。

冒頭「Little Girl」でもうノリノリです。本当に何の衒いもないストレートなロックンロールです。あまりにフツーのロックンロールなので飽きそうでもありますが、毎度2回聴いたりする程度に聴き易いわけです。結局フェイセズあたりの音が好きなので、その後の各メンバーの音源を聴き比べると、明らかに彼のソロが最もフェイセズ路線のまんまなんですよね。ロッドでもロニーでもなく…、彼なんですよね。

ちなみに、ジャケットのイラストはGary Panterというイラストレーターというか漫画家みたいな活動も多いアーティストです。実にアメコミ的な画風は個性的ですが、これといって有名な作品があるわけではありません。自分のようなポップ・アート好きにとっては、このジャケットが彼の代表作のように思えてしまいます。それなりに画集も出ていたりするのですが、ご本人もインタビューなどで、「キース・へリングになる必要はなかった」といったことも語っていたりするので、作風云々ではなく、そこそこ仕事があれば十分といった生き方なんですかね。…いいですよね。

ジャケットから連想する音と実際の音源があまりにもマッチしているんです。その辺の事情も含めて、実に愛すべき一枚です。


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