7インチ盤専門店雑記320「ヒル・カントリー・ブルース」
どうも「Hill Country Blues」というジャンルの音楽があるようで、最近その辺をディグしております。この辺の知識は全くなかったのですが、ルーサー・ディッキンソンやシャーデ・トーマスなどを芋蔓式にいろいろ聴いていくうちに辿り着いてしまいました。この手の音楽、別名を「North Mississippi Hill Country Blues」というんですと。この20数年愛聴しているNorth Mississippi Allstarsのアルバムは、リリースされる度に購入しておりましたし、聴きこんでいたつもりでしたが、ここにきて裏に広がる音楽がエラいディープなものであることが知れてきて、一層興味をそそられております。
とにかくローカル・カルチャーです。ミシシッピー州の北部、テネシー州に隣接する辺りの話しです。もう少し西に位置するミシシッピー川流域、デルタ地帯辺りのデルタ・ブルースとの違いが明瞭で、太鼓が中心にあり、コード進行もヒル・カントリー・ブルースの方がシンプルです。催眠ブギーなどと言われることもあり、のめり込み易いものです。西アフリカから連れてこられた奴隷が持ち込んだと説明されます。先日から語っております横笛のファイフ、それからドラム、せいぜいでハーモニカかギターあたりが加わることはあっても、基本は笛と太鼓です。
R.L.バーンサイドというブルースマンがおります。彼もNorth Mississippi Hill Country Bluesのプレイヤーと言われておりますが、これも低音の開放弦が鳴っている演奏スタイルでドローン効果を生み出すからということで、共通点があるということです。R.L.バーンサイドは、ブルース・エクスプロージョンのジョン・スペンサーが精力的にライヴを一緒にやったことで、若い連中に認知された人ですが、1990年代に人気になったのが70代後半、80歳近くになってからですからねぇ。私は若くないかもしれませんが、R.L.バーンサイドの新録盤を買ったりして、Windows98の頃、よく聴いていたのを憶えています。…今さらに「あれか!」というヤツです。
他には、ミシシッピー・フレッド・マクドウェルとかオーサ・ターナーといったアーティストが有名ですかね。ノース・ミシシッピー・オールスターズは新世代への影響力があるアーティストということで語られます。この人たちがカヴァ―しているブルース・クラシックと思われるものをディグしていけば、相当深く掘り下げられそうです。
日本ではあまり語られないブルースの根っこみたなあたりの音源は、ライフワーク的にあたっているのですが、お店でかける曲、普段聴くものとはやはり別扱いになってしまいます。ただ、ヒル・カントリー・ブルースは意外にカフェで流していても違和感がないというか、邪魔にならないので、心地よかったりします。最近も祭囃子と勘違いされつつ、「ああいうの海外にもあるんだ」と驚かれているお客様がいらっしゃいましたっけ。ファイフの説明をしただけで、もういっぱいという顔をされていたので、話は終わりましたけどね…。