FM84.0MHz Radio City presents "Saramawashi.com -The Vinyl Paradise" 103:かけそびれた70s特集
さらまわしどっとこむ -The Vinyl Paradise-
第103回(2023年9月15日(金)20時~
(再放送:9月17日(日)19時~)
清澄白河にあるカフェGINGER.TOKYOのオーナー高山聡(あきら)がお届けする音楽番組です。
全曲アナログ・レコードでお届けします。可能な限り7インチ盤で、しかもフルレングスでかけます。
サーフェスノイズにまみれた1時間、ぜひご一緒に。
今週はかけそびれてしまった70s特集です。かけてしまった曲のデータベースを作っておりまして、1時間番組を2年近くやっておりますと、1回10曲という単純計算でも、年52週で520曲×2で1000曲を超えるわけです。自分の好きな曲はもうかけ尽くしているかのような気もしてしまうのですが、意外にもダダ洩れです。私、2002年から下町音楽夜話という音楽エッセイをウェブで公開しておりました。そちらは週に1本だったので、19年かかって1000号に到達しました。その999本目と1000本目で好きな曲100曲と好きなアルバム100枚をご紹介しておりますが、まあ気分屋、超気まぐれですから、翌日には何曲も入れ替わると思いますが、2021年、2年前の8月にリストアップした100曲のうち、半分程度しかかけておりません。自分でもビックリしました。もういまさら焼石に水ですが、今日はそんな中から12曲ほどご紹介しようかと思います。他の番組ではかからなそうな曲を優先的に選んできましたから仕方ないのですが、そんなわけで、今回はちょいとベタな選曲でした。年代順に聴きましたが、喋りは最小限にするよう心掛けました。
1曲目
「It’s Too Late」Carole King (1971)
今更に解説するものでもありませんが、グラミー賞4部門独占、「レコード・オブ・ザ・イヤー」受賞曲です。アルバムは1971年72年2年連続で年間2位を獲得、まあ史上まれにみる大ヒットです。これもまだかけておりませんでした。一応大好きな曲ですので、ご紹介しました。
2曲目
「Good Times Charlie’s Got The Blues」Danny O’Keefe (1972)
ダニー・オキーフの1972年のセカンド・アルバム「オキーフ」収録曲です。彼の最大ヒットですが、加えてエルヴィス・プレスリーもカヴァーしておりまして、人気のある曲です。アルバムでは3枚目の「ブリージー・ストーリーズ」の方が売れておりまして、こちらはダニー・ハサウェイが全面的にキーボードで参加している名盤です。「ブリージー・ストーリーズ」のCDのボーナス・トラックとしてもこの曲は収録されています。もっと人気があってもいい人です。この曲、2種類のテイクがありまして、ご紹介したのはオリジナル・ヴァージョンと言われる方でした。
3曲目
「Jesus Is Just Alright」The Doobie Brothers (1972)
1972年、ドゥ―ビー・ブラザーズのセカンド・アルバム「トゥールーズ・ストリート」からご紹介しましたが、このアルバムからのファースト・シングル「リッスン・トゥ・ザ・ミュージック」は売れましたし有名ですが、セカンド・シングルがこれでした。1966年アート・レイノルズという人のゴスペル曲のカヴァーです。
4曲目
「The Joker」Steve Miller Band (1973)
1973年ですが、スティーヴ・ミラー・バンドの大名盤「ザ・ジョーカー」がリリースされました。タイトル・チューンはシングル・カットされナンバー・ワン・ヒットになります。大好きな曲です。中学1年生ですが、わりと直ぐにアルバムを購入しまして、もう聴きまくりました。ノーマン・シーフが撮影したジャケットが少々不気味でして、中1の小僧は夜見ると怖いもので、見ないようにしていました。1990年にジーンズのリーヴァイスのCMで使われて、イギリスでは2週連続でナンバー・ワンになっております。2005年にはファットボーイ・スリムがブーツィ・コリンズをフィーチャーしてカヴァーし、これもヒットしております。この曲の作者クレジットが面白くて、スティーヴ・ミラーと一緒にアトランティック・レコーズの社長の大富豪、アーメット・アーティガンの名前があるんです。何でなんですかね?
スティーヴ・ミラーは元々ブルース・ギタリストですが、このアルバムにロバート・ジョンソンの「カモン・イン・マイ・キッチン」のライヴ・テイクが収録されているんです。1980年代末に再度ブルース・リヴァイヴァルが巻き起こったとき、ロバート・ジョンソンのアルバムを買いまして、元歌を聴いたとき、メチャクチャ懐かしくて、ビックリしまして、「オレは何歳なんだ」となった懐かしい思い出のアルバムです。
5曲目
「Cindy Incidentally」Faces (1973)
この曲の7インチ盤が面白くて、フレンチ・カンカンのお姉さんたちが脚をあげているレーベルも笑えますが、2分半のこの曲とB面が5分ほどある「スクィフ」なんですが、同じくらいの領域を使って溝が切ってあるんです。つまりシンディの方がやたらと溝が太いんです。オーディオ趣味的には音がいい盤ということになるかと思いますが、ウルトラ・レアでして、簡単にはお目にかかれません。
6曲目
「Once Bitten, Twice Shy」Ian Hunter (1975)
ここから1975年に行きます。まずはイアン・ハンター、モット・ザ・フープルを解散させて最初のソロ・アルバムがでまして、これが後々ハマりました。モット・ザ・フープルは大好きだったのですが、ソロは何故かスルーしておりました。この時期から音楽も多様なものがどっと出てきましたから仕方がありません。このタイトルですが、「用心する」という意味のイディオムですけど、その意味で使っていますかね?あやしいですね。
7曲目
「Feel Like Making Love」Bad Company (1975)
こちらは、フリーのポール・ロジャースとサイモン・カーク、それからモット・ザ・フープルのギタリストだったミック・ラルフスと、キング・クリムゾンで一時ベースを弾いていたボズ・バレルが結成したバッド・カンパニーです。ファースト・アルバムがいきなり大ヒットし、数か月後にリリースされたセカンド・アルバム「ストレート・シューター」の収録曲です。急いで作ったからとあまり良くは言われないセカンドですが、それでも滅茶苦茶いいアルバムです。ボズのベースがいい音しております。
8曲目
「Tush」ZZ Top (1975)
もう一曲75年で、アメリカではこの大名盤が出ました。先日フェスの季節に聴くライヴ盤特集アメリカ編で、サイドAの「バック・ドア・メドレー」をフルレングスでかけさせていただいたZZ Topの「ファンダンゴ」ですが、「タッシュは」40年以上経った今でもライヴのハイライトの曲です。これの7インチ盤は超レアなんです。あっても状態の悪いものが5ケタ、1万円以上していたりします。今日はアルバムでお届けしました。
9曲目
「Art For Art’s Sake」10cc (1976)
1976年、10ccは前年に「アイム・ノット・イン・ラヴ」の大ヒットがありまして、翌年のアルバム「ビックリ電話」もヒットとなりました。そこからのシングル・カットです。
10曲目
「Mr. Blue Sky」Electric Light Orchestra (1977⇒2012)
ビートルズ以降のアナログ時代に最も多くのTOP40ヒットがあるエレクトリック・ライト・オーケストラですが、大名盤「アウト・オブ・ザ・ブルー」収録のヒット曲「ミスター・ブルー・スカイ」です。この「アウト・オブ・ザ・ブルー」は2枚組の大作ですが、一気呵成に作られたという事情もあり、中心人物のジェフ・リンはサウンド的にあまり気に入ってなかったということです。2012年に「ミスター・ブルー・スカイ」という再録音のセルフ・カバー盤をリリースしまして、こちらはご本人納得のサウンドと言われております。オリジナルは長岡秀星さんの手による宇宙船のようなジャケットだったんですが、2012年のジャケットは、メチャクチャくたびれた長旅後のような宇宙船が描かれておりまして、私個人的にはこのジャケットが大好きです。これぞ高齢社会のモチベーションを象徴するものかと思われます。
11曲目
「Waterfalls」Paul McCartney (1980)
70年代を代表するアーティストと言えば、個人的にはエルトン・ジョンとポール・マッカートニーです。マッカートニーはウィングスのギタリスト、デニー・レインが日本での逮捕を揶揄する「ジャパニーズ・ティアーズ」というアルバムを作ったりして消滅していってしまうわけですが、1980年、まあこの年を70sというかどうかなんですが、10年ぶりにソロ・アルバム「マッカートニーⅡ」がリリースされます。ファースト・シングルは「カミング・アップ」、何故かB面に収録されているライヴ・ヴァージョンがナンバー・ワンになります。セカンド・シングルは「ウォーターフォールズ」、ウィングス時代に作られた曲を適当に仕上げたと言われるもので、イギリスでは9位、アメリカでは100位にも入らないほどにコケたシングルです。でも私はマッカートニーの曲の中では五指に入るほどに好きなものでした。適当に仕上げてこれなら、やはり彼は天才です。
12曲目
「Easy Money」King Crimson (1973)
本当に好きな曲ばかりで、私個人はこの回非常に楽しめたわけですが、1970年代といえば、シンガー・ソングライターの時代、ハードロック、プログレの時代です。プログレにもやはり個人的に好きな曲はあります。本日のラストは、1973年のアルバム「太陽と戦慄」からキング・クリムゾンの「イージー・マネー」をお時間までということでご紹介しました。
次回は21世紀に聴くアナログ特集です。お楽しみに。
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