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7インチ盤専門店雑記837「マザーズ・リトル・ヘルパー」

1966年7月リリースのTop10ヒット「マザーズ・リトル・ヘルパー」ですが、B面が名曲というか人気曲「レディ・ジェーン」です。英国ではアルバム「アフターマス」収録曲ですが、米国では収録されておりません。アルバム発売と同時にシングル・リリースされたアルバム未収録曲的立場の曲です。…微妙なことをしてくれます。後に世界標準というかアルバム収録曲は統一されますが、まあこの辺も原因の一つなんでしょう。

A面は8位、B面は24位というヒット曲同士のカップリングですが、国内盤スリーヴは両A面仕様にはなっておりません。果たしてこの曲の人気のほどは…実に微妙です。お好きな方というかストーンズ・マニアやストーンズ・コレクターは当然知っているでしょうけど、フツーのロック好きには「どんな曲だっけ?」とか言われてしまいます。再生すれば、「ああ、これね」という程度には知られているんですけどね。またこの曲が大好きという方にはまだお会いしたことがありません。

そもそも、ローリング・ストーンズ自身がライヴではやりません。リリース当初はやっていた形跡がありますが、モンスター級のバンドになっていく過程で、ライヴのセットリストからは完全に外されてしまった曲です。12弦ギターのスライドとか出てきますから、キース・リチャーズにとっては面倒な曲なのかもしれません。この曲の演奏スタイルを表現する言葉で、ウィキペディアには以下のように記されております。

テンポの速いシャッフル・ビートのロック・ナンバーだが、歌詞の内容を反映してかメロディは陰鬱で、アシッド・フォークとでも言うべきアレンジがなされている。

Wikipedia

この表現が何とも上手いなと思うわけですが、そもそもアシッド・フォークって何?というところから語る場合はちょいと難しいかもしれません。1960年代のサイケ・ブームの中で語られる演奏スタイルでしょうが、「アシッド」という言葉自体が1980年代以降に使われるようになったものですから、当時はどんな評価だったんでしょうね。この曲も含め、結局のところ、自分もリアルタイムで聴いた世代ではありませんから、遡って見たときにどう感じたかの話になってしまいます。57年前とかの話ですからね。

ここに1982年にリリースされた、ローリング・ストーンズのグレーテスト・ヒッツすがあります。London Records時代の音源を集めたもので、敢えてMONOでプレスされております。笑えるのがオビでして、「黒くねれ」になっております。やっちゃいましたねぇ…。気がついてしまいましたねぇ…。

80年代にわざわざモノラルでリリースする意味合いですよね、考えるべきは。やはりオーディオ趣味的な要求からだとは思いますが、ではストーンズの楽曲をオーディオ的に楽しむ趣味人がどれだけいたのかですよね。これまでにウチのお店で何度かオーディオ・イベント的なものに場所を提供しておりますが、その際にもローリング・ストーンズがかかったという記憶がございません。音質は良好な盤が多いわりに、あまりオーディオ趣味のアイテムとして捉えていらっしゃる方は多くないのかと思います。ステレオ・ミックスよりもモノラル・ミックスの方がエネルギッシュな鳴りで評価は高いようですけどねぇ…。

至極個人的な意見ですが、ハードロック的な音の隙間がない音楽は比較的誰でも良好な音質で鳴らせるのですが、ローリング・ストーンズのように音の隙間が多い音源は、上手く鳴らすことに関して難易度が高めだと思うんです。音の隙間や無音部分が上手く描写できないと、チープな鳴りに聴こえてしまいます。…残念な印象が強まりますからね。

さあ、80年代の良好な設備でプレスされたモノラル盤、いい感じで鳴らせますか?アコースティック・ギターや12弦のスライドを上手く再生できますかねぇ…。7インチ盤は意外に良い鳴りですよ。



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