7インチ盤専門店雑記628「ハンプトン・ホーズはお好き?1」
久々にハンプトンホーズを聴きたくなってレコード・ラックをガサゴソ漁ってみたのですが、何だかとんでもないことになっておりました。ものの本では、ハンプトン・ホーズで紹介されるのは初期(1955年〜56年)のコンテンポラリーのトリオ3枚が多いと思われますが、それ以外にも結構な枚数のアルバムがリリースされております。58年〜63年頃はヘロイン禍で収監中、ケネディ大統領の恩赦で出てきてからも、ブランクを感じさせないプレイでリリースし続けております。1977年に脳出血のために48歳で急逝してしまいました。
コンテンポラリーからデビューした時は、ダウンビート誌のブライテスト・ホープに選ばれているくらいですから、注目もされたんでしょうね。その前52年〜54年が米国陸軍所属で日本に駐留していた時期です。54年録音の守安祥太郎のモカンボ・セッションに登場するのはこのタイミングで日本にいたからですね。
実は今回ハンプトン・ホーズを聴こうとした時、トリオ3枚が見当たらず驚いたのですが、しばらくして売れたんだったということを思い出しました。それでも初期音源から少し聴いておきたいなと思い、取り出したのが「The East/ West Controversy」という、A面のみハンプトン・ホーズ、B面はポール・チェンバースの音源という変則的なものでした。70年代にリリースされた51年の音源です。
とんでもないと先述したのは、久々に盤を取り出したら、内袋が貼り付いてしまっており、まずいことになっておりました。 ↓ トホホなんてものではありません、時間をかけて除去するにしても、ダメージが大きそうですね。まあそれでもこれはB面でして、ハンプトン・ホーズ側は聴けます。針を下ろししたら、…ペキッペキに乾いた音が出てきまして、長年放置したから乾燥してしまったかと思ってしまいました。
ウェストコーストものだからということもありますが、ハンプトン・ホーズのピアノって、こんなに乾いた音でしたかねぇ…。一聴手数が多くて、上手いなという印象ですが、ハード・バップと言うよりこれはビ・バップですね。躍動感溢れるものの、タメがない淡白な印象の演奏です。でも上手いですね。最近全く聴いていなかったのですが、こんなでしたかねぇ…。
次に聴いたのが「All Night Session! 1」、1956年11月リリース、ジム・ホールのギターを加えたカルテットですが、この時期よく一緒にやっているレッド・ミッチェルのベースが気持ちよく鳴っております。ブンブン・ベースがいいですね~、好きですね~。
もう一枚、これもトリオで「The Green Leaves Of Summer」、これ恩赦で出てきて最初のアルバムですが、全くブランクを感じさせません。ヘロインが抜けて、むしろ良かったかもしれません。相変わらず乾いた音が健康的で、聴く人を選びます。TPOと言うより、聴く人は結構好きと言うでしょうし、聴かない人は…聴かないでしょう。こちらのベースは、ウェス・モンゴメリーのお兄さんモンク・モンゴメリー、ドラマーはスティーヴ・エリントン…知らない。これ、いい音で鳴らしたい盤ですね。
ピアノトリオと言えばビル・エヴァンスですが、ビル・エヴァンスがもの凄く艷やかに聴こえてしまいますね。収監中の61年にリリースされた58年3月録音の音源「For Real!」では、スコット・ラファロがベースを弾いておりますが、残念ながらトリオではありません。ハロルド・ランドのテナー・サックスがガッツリ入っております。まあ、聴き比べするには面白い音源でしょう。
初期のトリオ3枚、データで聴きましたが、こんなに躍動感溢れる演奏をする人でしたかねぇ…。しばらく聴かなかったら、随分印象が変わってしまいましたよ。少し続けて聴いてみますかね…。