見出し画像

7インチ盤専門店雑記889「ザ・サヴェージ・ヤング・ビートルズ」

ビートルズを始まりから説き起こすのは、以前は難しかったように感じましたが、映画「バック・ビート」などのおかげもあって、世界的に共通認識が確立されたように思います。クオリーメン~シルヴァー・ビートルズ〜ビートルズの流れも整理されました。

個人的にはビートルズそのものが遡りで、解散したということがラジオでまだ騒がれていた頃に洋楽を聴き始めておりますから、リアルタイムでは残り香だけです。レコード趣味というものの面白さですが、そういったリアルタイムでは知りようもない古いことも、それなりのリアリティを伴って追体験できることが嬉しいですね。

ヘッダー写真はビートルズの10インチ盤「ザ・サヴェージ・ヤング・ビートルズ」です。トニー・シェリダン音源とでも申しましょうか。ハンブルク時代の音源です。リンゴ・スターではなく、ピーター・ベストがドラムスです。1982年に発売されたものですが、意外に見かけません。如何せん10インチ盤です。10インチ盤は好き嫌いがはっきり分かれますからねぇ…。SP盤と同じサイズですから、私は全く違和感がないのですが、古臭さを感じるものではありますかねぇ…。ともあれ、私は大好きです。

ハンブルク時代のビートルズをどこまで語るかは時間との兼ね合いですが、まあ歴史を語る資料としては貴重でしょうし回覧する素材としては悪くないでしょう。ただ今回ご依頼をお受けしたのは7月に小金井市で開催される講座の講師です。…少しでも運ぶ荷物は減らさないと。

トニー・シェリダン期の音源は手を変え品を変え、何度もリリースされているのかと思いますが、全容は知りません。ただでさえ後追いです。安く手に入れたレコードが何枚かあるようですから、とにかく見つけられたもので勉強です。ポリドールから出ている盤はラウドでいい感じで鳴るということですから、ヘッダー写真のチャーリー盤よりいい鳴りですかねぇ…。変わらない気もしますが。10インチ盤はそれなりに振動やハウリングに強いので、一概に言えないところがアナログ・オーディオの面白さでもあります。

7インチ・シングルもあります。1964年リリース、…侮れません。ビートルズがオーディオ・ファイルから愛される理由もこんなところにあるのでしょうか。ロックンロールはラウドな鳴りがイチバンです。…そもそも、ビートルズのアナログ盤は、英国盤よりも米国盤の方がラウドですよね。収録曲目の問題はありますが、あれば米国盤の方がいいなと思うのは、やはりリアルタイムで聴いたわけではない人間だからでしょうか。ブリティッシュ・インヴェイジョンを語る素材は、米国盤でないと意味ないかもしれません。

世相とともに語るとなると、実に奥が深くなるものです。いろいろな側面から斬り込んでみようかと思います。例えば1961年時点でのハンブルクの復興状況とか、どうだったんでしょうね。だって日本と同じ敗戦国ドイツですよね。なぜ英国からドイツに渡ってライヴ活動を続け、認知度を高めてきたか、その受け皿がハンブルクにはあったわけですよね…。本来ならリヴァプールやロンドンの方が、諸々の条件はいいはずですよね。

せっかくの機会ですから、あらためて多角的に掘り下げておこうと思います。港湾都市ハンブルクはドイツ第2の経済圏、正式名称は「Freie und Hansestadt Hamburg」、ハンザ同盟から説き起こしますかね…って、そんな時間あるわけないですかね。曲もかけたいし…。


いいなと思ったら応援しよう!