7インチ盤専門店雑記274「ノリ」
雨降りの月曜日、ランチは当然ながら落ち着いております。しょうがないので、…ライヴ盤にあたっております。あれこれ考えながら選曲することは楽しいのですが、売上のことをアタマの片隅に置いて作業をしていても、集中力を欠いている気もしますね…。
レコードって元の意味は「記録」なわけで、音の記録として複数回再生可能にしてくれた円盤メディアなわけですが、何がこんなに楽しいか、愛おしいかってところですよ…。しかもライヴって、ある時の演奏のまんまに記録したものという前提があるわけですよね。もちろん疑似ライヴもあれば、オーバーダブしたものもあるし、本当の意味でのライヴではないものも多く存在しますけどね。
しかもね、特に亡くなってしまったアーティストの演奏や声が聴けるってところも嬉しいわけで、凄く貴重と思うわけです。もちろんそういう意味ではレコードはみんなそうなんですけど、特にライヴが有り難く感じてしまう部分ってあるんですよね。…まあ、デジタル・データでも同じですけどね。とにかく、記録も記録、ある日のライヴをまんまフルで収録してくれている音源が特に愛おしかったりします。ノリ一発、少々ミスがあろうが関係ないっしょ…。いろいろな日のベスト・テイクを寄せ集めたライヴ盤もありますけど、やっぱりある日の記録が嬉しいな…。
そんなわけで、相変わらずライヴ音源にあたっております。自分が子供の頃、もちろんライヴに足を運ぶような年齢になってない時分、ライヴ盤というものがあって、コンサートの記録なんだということは理解していたわけですが、自分がコンサートに行くという考えはまだなくて、疑似体験しているわけですよ。目の前で演奏しているというのがどんだけ凄い体験なのか、まだ知らないうちから疑似体験していたもので、1975年11月にエリック・クラプトンの武道館ライヴで初めて生を体験したときの感動は大きかったし、「これは録音されているんだろうか?」「レコードで再生したらどんな風に聴こえるのだろうか?」といったことを少しは考えていたような記憶があります。…実はその時点でも自覚がありましたけど、ライヴ盤好きなんです。
あるアーティーストのコレクションがあるとして、当然ながらスタジオ録音のオリジナル盤が集める対象の核となるわけですが、ライヴ盤というものも大抵のアーティストがリリースしているもので、自分の場合、オリジナル・レコード、ベスト盤、ライヴ盤が揃ってはじめてコンプリートという感覚を持っていましたね。それで全体像が見えてくるような感覚です。
ライヴがやたらと評判よいアーティストもおりまして、昔からそういう人たちが気になっていけませんでした。例えば、アージェント。ゾンビーズのロッド・アージェントが作ったバンドですが、ギターは名曲をいっぱい作ったラス・バラードでした。とにかくまずライヴ盤を買ってしまったんです。当然繰り返し、繰り返し聴いて、非常に気に入って、後からスタジオ録音の方を集めていったわけです。そうなると、やはり本質とはズレて捉えているようなところもありまして、私はアージェントをハード・ロック・バンドだと思っていたのですが、世の中的にはどうもプログレだったようで、後から、「アレ?」となるわけです。だから、ラス・バラードの曲をレインボーが何曲もカヴァーしていても違和感がなかったのですが、世の中的にはそうでもなかったようで…。「シンス・ユー・ビーン・ゴーン」とか「アイ・サレンダー」のはなしですけどね…。キッスも何かカヴァーしてましたっけね…。
イアン・ハンターに関しても、何だか誤解していたようなイメージです。モット・ザ・フープルは好きで聴いていましたけど、ソロはノー・チェックだったんです。ところが、このライヴ盤が安く売られていて、入手してみたら、やたらと好きなタイプのライヴ盤でして、もの凄いノリのよさもあって、ハマりましたねぇ、これは。慌ててソロのアルバムも集めましたが、案外入手困難盤が多く、苦労しました。もうムキになって関連音源も集めた記憶があります。
そうなんです、上手い、下手ではなくて、やたらとノリのいいライヴ、好きなんですよ~。
あ、ちなみに、ヘッダー写真のグランド・ファンク・レイルロードのライヴ盤のノリも凄いですね。後々間近で彼らのライヴを観ましたけど、予想外に丁寧な演奏で、しかも上手いのに驚かされました。ちょいとイメージと違っておりました。ミュージシャンのイメージなんて、多分に思い込みも含まれたものなのではないか、などと考えております。