7インチ盤専門店雑記379「スプーキー」
アトランタ・リズム・セクション(ARS)の「スプーキー」は大好きな曲です。以前にやっていたラジオ番組でも4回目のOAだった「7インチ盤でサザンロック」特集の中で早々にかけた記憶があります。日本では人気がないだの、7インチ盤が流通していないだの、下手すりゃ100円ボックスにいるだの、愚痴っぽく語っておりました。
ラジオ番組でかけた曲は、noteで番組後記を作らされたこともあって、しっかり記録が残っているもので、サイト内検索すれば引っかかってきます。これが結構有り難いです。↑ 写真もコピーして持ってこれますし…。記憶の整理にもなります。還暦過ぎたジジイの記憶はいい加減なものですから…。
ARSは元々、60年代にヒット曲を持つキャンディメンとクラシックス・フォー(Classics IV)というバンドが合体してできたバンドでして、「スプーキー」は、クラシックス・フォーが1968年にビルボードで3位まで送り込んだヒット曲です。「spooky little girl…」という歌詞のせいでしょうが、ハロウィーンの時にウケる定番曲となっているようです。元々はインスト・ナンバーだった曲といいますから面白いです。ARSの「スプーキー」は、キーボードのDean DaughtryやギターのJ.R.Cobbにとっては、過去ヒットの再録となるわけですね。
ちなみにキャンディメンには現在もARSとして活動を続けているヴォーカルのRodney JustoとドラムスのRobert Nix、そしてクラシックス・フォーと両方に在籍したことがあるキーボードのDean Daughtryがいたんですね。
さらにちなみに、ARSを語るとき、Buddy Buieという人物を忘れてはいけません。彼はソングライターとして「So In To You」や「Imaginary Lover」といったヒット曲に名を連ねておりますが、ARSのマネージャー兼プロデューサーとしても活動しておりました。元々はロイ・オービソン等に曲を提供するソングライターです。
さらに、さらにちなみに、ARSとして活動を開始したのは、1970年春、アトランタの近く、ジョージア州ドラヴィルという場所にStudio One Recording Studioが新装オープンしまして、そこのハウスバンドとしてなんですよね。このスタジオの3人の共同オーナーの一人がBuddy Buieだったということです。ヒットを連発した時期のヴォーカル、Ronnie HammondはStudio Oneのアシスタント・エンジニアだったり、要はこのスタジオに出入りしていた連中がみんなで作ったバンドなんですかね。
あ、ちなみにヘッダー写真はクラシックス・フォーの「スプーキー」の7インチ盤です。気味悪い少女がどうのという歌詞のハロウィーン定番曲と言われても、日本では売れなかったでしょうね。まだ「ハロウィーンって何?」という時代ですかね。それでも、この盤、恐ろしくいい音で鳴ります。ベースなんぞ、この時代の音とは信じられない鳴りです。さすがスタジオ・ミュージシャンの集まり、大ヒットを飛ばすことになるARSのルーツが伺える貴重な一曲です。