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7インチ盤専門店雑記588「I Do」

えー、イベントが近づいてきました。今回はオーディオ・イベント的にフツーのロックをかけると申しておりますが、先々月あたりにやっておりました産業ロックのイベントの積み残し解消も少し考えております。…だからフツーのロックなんですけどね。まあ、音のいい盤をしっかりアナログで聴きたいというのは常に思っていることでして、今更テーマ的に言うことでもないのですが、とにかくイベントとなると紹介したい曲が多すぎて、動画などを使って1~2分程度のチョイがけで曲数をかせぐことが多いわけです。…本来それではいけないと思いつつも、どうしてもかけたくなっちゃうんだな…。

さて、J・ガイルズ・バンドも時に産業ロックと言われてしまうことがあります。まあ産業ロックのイベントではこれを肯定的に捉えて、曲がいいから売れる。売れて何が悪いと開き直った方向性で語らせていただきました。J・ガイルズ・バンドも、80年代に入るといきなり売れて、スタジアム級の会場でライヴをやるようになってしまいまして、その時期の曲を捉えての話なんですけどね。

「センターフォールド」、大ヒットです。No.1です。そしてあちこちでかかりまくっておりました。それまでと随分方向性の違うポップな曲調が、余計にそれまでのファンからも揶揄されてしまったようなところがあります。如何せん、イマイチ売れないけど黒っぽいノリで最高のライヴ・バンドだぜという捉え方でよかったですかね?私もその辺が好きで、地味に売れないアルバムを集めておりました。また、何気にいいライヴ盤を出しましたからねぇ。1970年から84年までの間に11枚のスタジオ録音のアルバムをリリースしておりますが、その他にライヴ盤が3枚あります。14枚中3枚がライヴ盤、…ライヴに自信があったということでしょう。日本では人気がなかったということもありまして、本当に入手困難な連中でした。

ヘッダー写真は、「センターフォールド」がNo.1ヒットとなった後のライヴでして、彼らの3枚目のライヴ盤「SHOWTIME!」です。…このタイトルからして、ご本人たちは分かっていたのかなという気もしますから、確信犯的に売れちゃったけど、本質はここだよという音源とも取れます。そして、ここからシングルカットもしてきましたが、「I Do」ですよ。マーヴェロウズのソウル・ヒットのカヴァーですよ。この人たち、黒いと言ってもブルージーなんじゃなくて、ソウル/R&B系なんですよね。ライヴだってノリがソウル・レヴューなんですよ。

正直なところ、この人たちの本質的な部分は変わってないと思うんです。ただね、売れちゃって、勘違いというわけでもないんでしょうけど、フェイ・ダナウェイのダンナのピーター君、もの凄いブルース・シンガーへのリスペクトを公言している人間ですが、独立しちゃうんだよなぁ。ピーター・ウルフの人気も確かにあったとは思うんですけど、J・ガイルズ・バンドは垢抜けないけど愛さずにはいられないJ・ガイルズのギターとか、マジック・ディックのハーモニカとか、セス・ジャストマンのキーボード・プレイや彼が作るカッコイイ曲があってのバンドなんですよね。…もう少し聴きたかったなぁ、というのが本音ですかね。

…この曲なんて産業ロック的とか言うよりも、ブルース・ブラザーズ的な音ですよね。…小さなハコ向きな音という気がしますねぇ。よっしーさんが渋谷クラブクアトロで観たピーター・ウルフについて書いていらっしゃいますが、まさにうってつけの環境だったと思います。ちなみにこのライヴ盤のエンディングはピケット流「ダンス天国」です。…確信犯ですよね。

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