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7インチ盤専門店雑記372「70sソウルが好き…」

7インチ盤専門店での売れ線ソウルについてちょっとだけ書いておきます。自分は洋楽の入り口がソウルでして、ヒットチャートに夢中だったティーンの頃は、それこそもう何でも屋でハードロックもプログレもSSWもソウルもというヤツでした。レコードを買うおカネは限られていましたから、結局選択と集中を迫られる中で、ソウルは疎遠になってしまったんですけどね。まあそれだけでなく、ディスコ・ブームが踊らない人間には厳しかったですね。時期的に被るパンク/ニューウェーヴもそれなりに面白くて、一部のニューウェーヴ・バンドには相当ハマってましたし、フュージョンも魅力的でしたからねぇ。

でも振り返ると70s後半はアカンですが、前半はやはり好きなものが結構ありました。ドビー・グレイについて書いたときも思ったのですが、記憶野のかなり深い部分に染み付いているようで、懐かしさはより強力だったりもします。特にWARのようなファンクはアース・ウィンド&ファイアー以上に好きな曲があったりもします。映画等の影響もあって特に「ローライダー」はいまだにラジオでもかかったりしますから、人気もあるようです。7インチ盤もそれなりに売れます。個人的にも好きなあたりです。リー・オスカーのハーモニカの存在が上手く生かされていましたからね。

ミニー・リパートンのように早死にしてしまったりすると、余計に思い入れが強くなるもののようで、「ラヴィング・ユー」は例外的によく売れます。店を始めてこの8年で何枚売れたやら、もう数えきれません。特別思い入れはありませんが、あの超音波のようなハイトーンボイスは、今となっては時代の音に昇華しましたね。

ルー・ロウルズは母親が好きで忘れられないのですが、これはお問い合わせも受けたことがないので、日本人ウケはよくなかったかも、などと思った次第です。いつまでもお店をやっているわけではないと思うと、この辺の売れなそうだけど好きな曲の盤はそろそろ避難開始かなぁと考えております。

テンプテーションズはまた格別好きでしたね〜。実はウチで最も売れるソウルといえば、スティーヴィー・ワンダーとテンプテーションズです。この2アーティストは群を抜いて売れております。おそらく世代的にマイケル・ジャクソンよりもこちらなんですね。ウチの購買層はかなりご高齢ですから。

「雨に願いを」は1968年の曲ですけど、後々名カヴァーも多数生み出す大名曲は、70年代前半でもラジオから流れておりました。レコードが溢れている状況を何とかしたくて、少し避難開始を意識し始めた時、こういった後々カヴァーを生む曲は、当然古い曲で、状態のいい盤は当然少なくなってきているので、大事にしなければと真っ先に候補として浮かんできました。まあ売りボックスからは引き上げるかといったところです。…他の曲のシングルは結構流通しているのですが、「雨に願いを」は流通量が少ないんですよ。…やはりカヴァー・ヒットのせいですかね?

そもそも60s、70sのソウルって状態のいい盤が少ないんです。何でなんですかね。昔むかし50年程前に15歳ほどの小僧だった自分が、ディスク●ニオンのカウンターのお兄さんに「ソウルのレコードはどこに行けば手にはいるか」と訊いたとき、「ソウルは輸入盤のシングルで聴くのがオススメ」と返してくれましたけど、LPが無いことの言い訳のようにも感じて、その後もあまり7インチ盤でソウルは聴きませんでした。でも、今さらに思うんですけど、ソウルだけは輸入盤7インチがいっぱい売ってましたよね。モータウンをはじめとしたソウルを取り巻く環境は、中心的なリスナーの可処分所得との兼ね合いもあってか、シングル志向が60年代と変わらず続いていたのかも知れません。あのお兄さんは、実は小僧に対しても実に真摯に回答してくれていたのかも、などと思ったりもするんですよねぇ…。

あ、ヘッダー写真のビリー・ポールは何度かお問合せいただいていた曲なんですけど、盤が行方不明だったのが出てきまして、「ありますよ~」というだけです。避難対象ではありません。よろしくです。

しっかし、中学生でこんな渋いのも聴いていた自分に、今更ながら呆れますね…。

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