7インチ盤専門店雑記093「ジャズ・シーン」
ウィリアム・クラクストンという、ジャズ関連のアルバム・ジャケットをいっぱい撮った写真家さんのドキュメンタリー映画のサントラです。スティーヴ・マックインの専属フォトグラファーでもありました。音楽はドイツ人トランぺッター、ティル・ブレナーがやっております。カッコイイ人です。視覚的に音楽を語る素材でしょうから、カッコイイ人にサントラを作らせるのは正解でしょう。
ただこの映画、再現ドラマみたいなのが含まれていて、その部分だけは要らないなと思いましたけどね。映画の各シーンがまたオシャレでよくできているので、少々残念です。加えて、個人的な好みを言わせていただきますと、ウィリアム・クラクストン、あまり好きではない写真が多い人です。写真からジャズを感じるかと言われると、ものによってです。若き日のチェット・ベイカーなどは最高なんですけどね…。
サントラは半分くらいがティル・ブレナーの演奏で、残る半分はチェット・ベイカーやジェリー・マリガン、ルイ・アームストロング、ダイアナ・クラールなんてところの有名曲が含まれております。まあ、いずれにせよ、オサレ~といったところです。ジャズのオシャレな部分を見事に抽出したようなものです。
如何せん2001年です。DVDもCDも買いましたけど、アナログ盤は無いかと思います。あっても、どうしてもというものでもありません。こういった時期の音源は、ものによってアナログ盤がリリースされていますけど、最も冷遇された氷河期みたいな時期ですから、致し方ありません。
やっぱりノラ・ジョーンズのファーストが出たあたりからですかね?アナログが復権し始めるのは。自分のように大のアナログ好きでも、この時期はアナログでリリースされることなんか、これっぽっちも期待してませんでした。それが、ノラ・ジョーンズのファーストに関しては、レコ屋の壁面にダ―っと並べてありましたから、「おや?」と思いました。そんなにアナログ向きなのかという疑問が最初で、CDを買ってみて凄く気に入って、初めてアナログ盤も購入したのが懐かしい思い出です。あれも20年前ですからね…。
この時期、メディア・コンプレックスなどと言われて、様々なメディアで楽しむような音源が増え、インターネットも少しは使えるようになってきた頃で、でもまだまだ音楽情報は満足できるものではなくて、この盤で知るに至ったティル・ブレナーの情報を漁りまくったわけです。非常に気に入りまして、可能な限りアナログ盤で入手しましたけどね。この方もアナログ指向が強いので、しっかりアナログ盤をリリースしてくれましたからね。有り難かったです。
今までもあまり意識していなかったのですが、ひょっとしてこの盤あたりで、アナログ指向が一気に強まることになったのかも知れません。やっぱりジャズは可能な限りアナログ盤で聴きたいと思わせたCDだったのでした。