7インチ盤専門店雑記850「Ian Hunter」
1975年リリースのイアン・ハンターのファースト・ソロです。大好きなモット・ザ・フープルの中心人物ですから、もっと取り上げてもいいのですが、7インチ盤の世界ではマイナーなアーティストです。滅多に見かけません。モット・ザ・フープルもあまり玉数が多い方ではないので、シングルに注力しない方針なんですかね。ここでは「Once Bitten Twice Shy」という人気曲が収録されておりますが、7インチ盤なんて一度も見たことがありません。…リアルタイムでは売れてないというだけですかねぇ?
個人的には難しいところがあって、イアン・ハンターは結構好きなんですけど、ミック・ロンソンのギターはそれほどでもないんです。そもそもギターを中心に聴く人間なので、この人のアルバムは当たり外れがあるんですよね。…モット・ザ・フープルに関しても同じで、ミック・ラルフスがギターを弾いているアルバムは大好きなんですけどね。以前にも書きましたが、私は最初に買ったギターがミック・ラルフス・モデルだったわけで、それくらいモット・ザ・フープルは好きだったんです。
このファースト・ソロに関しては、音よりもアートワークが好きというほどこのイラストは好きなのですが、描いたのはMartin Springett という人物で、よく知りません。まあドラッグ臭プンプンな印象ですが、フツー出てこないイメージですよね。パッケージ・デザインはRoslav Szaybo、この方はCBSオンリーのデザイナーでエルトン・ジョンやサンタナ、ジャニス・ジョプリン、ザ・クラッシュなどといったアーティストのクレジットに名前が見られます。ポーランド人でロスワフ・シャイボと発音するようですが、あまり詳しい情報はウェブ上にもありません。それでも、このあたりのアートワークはもうロック・カルチャーを代表するものだと思います。
大好きなジャケット・アートなのでどうしてもビジュアルの方に話が行ってしまいますが、音的には「Once Bitten Twice Shy」を含むA面は非常に魅力的です。B面は少し緩みますかね…。A面は「Lounge Lizard」も一度聴いたら忘れられないメロディだと思います。
メンツは、意外なところで、この後フォリナー立ち上げに参加するドラマー、デニス・エリオットがいることでしょうか。ジャズ・ロックのIf(イフ)で叩いていた人ですけど、フォリナーの主要アルバムすべてで叩いていますから、他のキャリアが語られなくなってしまいましたね。…ここにいるんですよねぇ。
モット・ザ・フープルがグズグズになっていった一方で、イアン・ハンターは新バンドを結成したかったんだと思うのですが、上手くいかずにソロでアルバムを作り続けることになってしまいます。このアルバムもゲスト・ミュージシャンとかいなくて、バンド的に5人で作り上げているんですよね。この盤を聴くとき、どうしてもそんなところが気になってしまうのですが、曲は全部イアン・ハンターのオリジナルですし、プロモーション次第ではもう少し違った評価がされたのではと思うんです。何だかもったいない印象のアルバムなんですよねぇ…。