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7インチ盤専門店雑記797「12インチ・シングルのお値段は…」

1980年代特有の煌びやかなカルチャー事象の中でも、12インチ・シングルのブームは、音楽好きにとって楽しいものではありました。リミックスがお好きか否かという問題はありますが、オーディオ好きにとっても高音質の条件が揃っているので、楽しめるものではありました。以前にも何度か書いておりますが、まあ高音質盤の宝庫です。

しかも、80年代にバンド本体でも大ヒットを飛ばしながら、メンバー個々が売れまくったジェネシス関連は、どれもクオリティが高くて呆れてしまいます。とりわけフィル・コリンズは多作でして、リリースしまくりましたが、録音クオリティは高いわけで、もの凄かったわけです。先に脱退したピーター・ガブリエルだって、「スレッジハンマー」の大ヒットに言及するまでもなく、結果を出しました。

そして忘れてはいけないのが、マイク・ラザフォードのマイク+ザ・メカニクスです。85年のファースト・アルバムと88年の「Living Years」は、どちらも恐ろしくクオリティの高いアルバムでしたし、90年代を通して良質なアルバムをリリースし続けました。特に「Living Years」は英国で2位、米国で13位まで行ったヒット・アルバムです。そこから4曲のシングルが生まれるわけですが、タイトル・チューンが米国でもナンバー・ワンを獲得してしまいます。英国では2位、その他多くの国でナンバー・ワンに輝くわけです。如何せん、88年リリースのアルバムですから、ただでさえアナログ的には音が良いわけです。…そしてレアです。

ヘッダー写真はこのアルバムからの4thシングル「Nobody Knows」の12インチ・シングルですが、まあ89年も後半に入ってからリリースされた4曲目のシングルです。世に出回っている玉数は少ないと思われます。そして重ねて申しますが、89年です。ほぼCDに駆逐されてしまった時期です。クラブでDJさんが鳴らすようなタイプのHip Hop/R&B系でもなく、ポップなプログレ系です。どれだけ、需要があったのでしょうか。オーディオ趣味のアイテムとして、マニアが求める以外に需要があったとは思えない盤なんですけどね。…45回転、溝も太いわけで、鳴りは文句なしです。ヴィデオ・クリップには歌っているエース 〜 スクイーズのポール・キャラックがしっかり出てきます。…この人のソロもクオリティが高い盤ばかりですからねぇ…。

カップリングはアルバムのラスト・チューン「Why Me?」です。レア音源が収録されているわけではありません。さすがに4枚目となると、そこまでの余力はありませんでしたかね。

…さあ、お値段はいかほどに…。500円くらいですかね…。この辺の音源の12インチ・シングルって、何だか安く売られているんですよね。クオリティは高いのに、需要が無いということなのでしょうか。それにしても、この盤、ウルトラ・レアなんですけど。盤質もA+程度です。何だかなぁ…。

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