7インチ盤専門店雑記823 「リッキー・ネルソン」
先般、1980年代のスティーヴ・ミラー・バンドが面白いことをやっているということで記事を一本書きました。その中で「Get On Home」というタイトルでアメリカン・フォークソングの「Cindy」をやっていることに触れました。
YouTubeで「Cindy」を検索すると、リッキー・ネルソンがギターを弾きながら歌っている短いテイクが出てきます。映画「リオ・ブラボー」のワン・シーンのようですが、これがねぇ、またまた気になるんだ。まず、そもそもですが、タイトルが「Get Along Home, Cindy」となっております。get on~もget along~も、歌っているときなど発音的にはほとんど同じです。用法が何とも難しく、同じ意味のようにも使われますが、話す人によっても、TPOによっても意味が変わりそうなので、明確な翻訳ができません。
そして、西部開拓の時代、すなわち西部劇の時代、こんなに美しいギターがあったのかなぁと思うのですが、まあ時代考証がどうのというような野暮なはなしではなく、あったんですかねぇ、アコースティック・ギター…。あり得たんですかねぇ?早打ちガンマンがギターを弾きながら歌う素材としての「Cindy」は何だかいい味出していて、こういうフォークソング的なものがどれほどあったのか…、ルーツなどを探る作業などが楽しそうだなぁ…など、いろいろ考えてしまいます。
加えて、リッキー・ネルソンは1959年当時、バリバリのアイドルですが、なかなかの実力ですよね。ルックスがよろしいだけではなくて、いろいろできないと起用されなかったでしょう。まあ、日本国内でも、当時の若手歌手は相当実力があるように思えますからねぇ。…本来こうあるべきなんでしょうけどね。
彼は非常に人気がある歌手でして「ハロー・メリールー」とかヒット曲もいっぱいあります。後々、…1972年ですが、リック・ネルソン&ザ・ストーン・キャニオン・バンド名義で「ガーデン・パーティ」というシニカルな歌詞の歌を大ヒットさせました。やはり以前、ラジオ番組でもご紹介しましたが、大好きな曲です。
ラジオのこの回、飛行機事故で亡くなったアーティストを特集しておりまして、彼も1985年に亡くなっております。ちょいとそこで喋った内容を引用しますと…
また、何度も書いておりますが、この曲がヒットした1972年は思い切り思い入れのある年ですから、ネタ帳でいろいろご紹介もしておりました。飛行機事故で亡くなったアーティスト云々という特集の起点はドン・マクリーン「アメリカン・パイ」であることは容易に想像がつきますね。
7インチ盤専門店としての話ですが、リッキー・ネルソンは日本で人気があったとかいう話はあまり聞きません。7インチ盤は少しはありますが、かなりレアです。そして「思い出のガーデン・パーティ」も一枚だけ持っておりますが、理由はどうであれ、やはりレアですから法外なお値段となっております。…売りたくない度で価格が決まる店ですから。
昔の音楽をディグしていらっしゃるご高齢のお客様で、この辺の事情をご存知ない方がいらっしゃいまして、「何でこんなにリッキー・ネルソンがあるの?」と驚かれていたんですけど、「好きだからですよ」と申し上げても納得していただけませんでした。…好きなんですよ、リッキー・ネルソン。