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7インチ盤専門店雑記691「芸術こそ我が命」
10ccの「芸術こそ我が命 Art For Art's Sake」、大好きな曲です。このタイトルを見ると大学受験の英語を思い出しますね。for one's sake…~のためにという意味でしたね。「芸術のための芸術」といったところでしょうか。エリック・スチュワートとグレアム・グールドマンが書く、こういったポップロック的な曲が好きでしたねぇ。
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1975年に「Original Soundtrack」という架空のサントラから「アイム・ノット・イン・ラヴ」が大ヒットしましたが、翌年、さほど間を置かずに、これまた大名盤「びっくり電話 How Dare You!」がリリースされます。もう発売後ちょっと経ってから、まだ珍しくもあった輸入盤に飛びつきましたよ。B面1曲目がこれで、あのイントロ、ワクワクしながら繰り返し聴きましたね。この盤には「アイム・マンディ I'm Mandy Fly Me」という、もう一曲大好きなシングルもありましたから、堪りませんでした。他の曲も彼ららしい捻くれポップ全開で、わけもわからず芸術性の高さに圧倒されておりました。翌年には「愛ゆえに Deceptive Bends」がリリースされますから、まさに絶頂期の中核を成す一枚ですね。
この曲、アルバムでは5分59秒もあります。シングルはあのコード弾きのリフから始まって、コンパクトにまとめられ4分13秒になっております。このシングルが何とも適当なエディットで、妙に好きだったりします。7インチ盤特有の圧が感じられ、音的にもこちらの方がいいんです。一応CDのボーナス・トラックにはなっております。B面の「Get It While You Can」はアルバム未収録でしたが、こちらもボナトラになっております。
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面白いのが、アメリカ盤と思われる輸入盤のサンプラーが手元にあるんです。これがまた、妙にいい鳴りでしてね。しかも面白いことに、両面とも同一音源なんです。以前にStereo/Monoサンプラーを集めているということも書きましたが、これが両面ともStereo音源なんです。フツーに「Get It While You Can」がB面に入っている盤を使えばよかろうに、わざわざ両面とも「芸術こそ我が命」なんです。まあ、摩耗した時用とでも考えればよろしいのでしょうか。そしてメリハリがきいたいい音で鳴ります。有り難い盤です。
結局10ccは80年代にはスチュワート/グールドマン組とゴドレー&クレーム組に分裂し、さらにエリック・スチュワートはポール・マッカートニーのバックアップに回り、その後アラン・パーソンズのバックアップとなります。そしてグレアム・グールドマンはアンドリュー・ゴールドとWAXを立ち上げ、けっこうなヒットとなりました。
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個人的にはこの辺の音が非常に好きでして、結局グレアム・グールドマンのサウンド・メイキングが好きなのかなと思うに至っております。現在も10ccは活動中でして、グレアム・グールドマンだけがおります。他のメンバーは皆んな過去の人の扱いですね。…やっぱりグレアム・グールドマンなのか〜といったところです。…仲良くすりゃいいのに。
そういえば昨夜一枚売れましたね。10ccも7インチ盤は結構レアですからねぇ。もう手に入らないかな…。