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7インチ盤専門店雑記445「ハシエンダ・ブラザーズ」

酷く疲れるとハシエンダ・ブラザーズが聴きたくなります。2002年にクリス・ギャフニーとデイヴ・ゴンザレスの2人が共通の友人のバースデー・パーティのバンドとして活動を開始し、2005年にファースト・アルバムをリリース、2008年にはクリス・ギャフニーが癌で他界して、あっさり解散してしまいます。解散までにスタジオ・アルバム3枚とライヴ・アルバム1枚をリリースしております。近所のオッサンたちが集まってお楽しみでやっている、実にローカルなバンドですが、彗星の如く現れて、さっさと消えてしまいました。

「Hacienda Brothers」(2005)

ところがこの連中、やたらと上手いんです。やっているのはルックスからもお分かりのようにカントリー・ロック〜アメリカーナといったところですが、御本人たちは「ウェスタン・ソウル」だとおっしゃいます。まあオルタナ・カントリーと言っても何ら不都合はありませんが、「ウェスタン・ソウル」と言っておいた方が都合がいいかもです。というのも、3枚ともプロデュースがダン・ペンだからなんです。セルフ・プロデュースの曲もありますが、とにかく、このオッサンたち、ライヴにはもちろんダン・ペンが参加するわけです。そう、サザン・ソウルの名コンポーザーもお友だちなんです。

「What's Wrong With Right」(2006)
「Arizona Motel」(2008)

ダン・ペンはどちらかというとコンポーザーとしての評価が高い人です。「ダーク・エンド・オブ・ザ・ストリート」(ジェームス・カー)、「ドゥー・ライト・ウーマン・ドゥー・ライト・マン」(アレサ・フランクリン)、「ア・ウーマン・レフト・ロンリー」(ジャニス・ジョプリン)といったあたりが有名でしょうか。「アイム・ユア・パペット」という有名曲もありますし、ザ・ボックス・トップスのプロデュースでも有名ですね。でも個人的には1994年の「Do Right Man」という自分の曲を歌ったアルバムが大好きです。とにかくいい声しております。

「Do Right Man」(1994)

ダン・ペンの場合、ヒストリーを見ても、相方スプーナー・オールダムと一緒にやるライヴとかに評価が集中するのですが、一人でまったりやっている部分が好きですね。世界的な名声が得られたわけでもありませんが、ミュージシャンズ・ミュージシャン的に多くの名カヴァーを生みだし、リスペクトを集めた人でもあります。ライヴを観たいという気は特にしないのですが、彼の音源はやはりアナログで聴きたいとは思います。

そんなわけで、ハシエンダ・ブラザーズの音源もアナログで聴きたいとは思いますが、時期的なこともあってCDしかありません。それでも時々はプレイヤーにディスクを突っ込んで鳴らします。ヘタなオルタナ・カントリーやサザン・ソウルの音源よりも、聴きごたえはあります。とにかく演奏は上手いです。…どうにかなりませんかねぇ、アナログ盤で再発してくださいよ。絶対にアナログレコードで聴くべき音源ですよ。


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