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7インチ盤専門店雑記332「日米英比較」

だいたい洋楽の7インチ盤は米国盤オリジナルがいい鳴りだとおっしゃる方が多いわけです。でもうちのお店の7インチ盤は、90%以上が国内盤のスリーヴ付きです。7インチ盤に求められるのは音質や取り回しの良さだけではなくて、懐かしさも重要な要素だと思うので、拘っていたりします。スリーヴ有りと無しでは全然印象が違うものです。謳い文句も時代を感じさせるものが多く、好きなんです。そして国内盤がいい鳴りを聴かせる曲もあります。

ヘッダー写真はドゥ―ビー・ブラザーズの名曲「ホワット・ア・フール・ビリーヴス」の日米盤ですが、米国盤7インチはスリーヴ自体がないものも多いのですが、この曲はしっかりあります。

盤質はどちらもかなり良好です

昨日の続きになりますが、この曲の場合、溝の太さを比べたとき、国内盤の方がかなり太いんです。元々国内盤の鳴りがいいもので、いろいろな方にお勧めしていた曲ですから、優良録音の好例です。これ、日米比較では、日本に軍配が上がります。溝の太さで音質を聴き比べることはあまりないかもしれませんが、カッティングは個人の手作業ですから、日本人の丁寧なカッティングが施されているとなると、断然国内盤有利です。

内周の無音部分が細い国内盤
内周の無音部分が太い米国盤

他にも日米比較ができる盤はいろいろありますが、面白いところで、デフ・レパード「シュガー・オン・ミー」、誰もが知る大ヒット曲ですが、英国では1987年9月リリース、米国では1988年4月リリースです。アナログ盤にとっては実に微妙な時期です。海外では7インチ盤がまだまだプレスされていますが、国内ではほぼ生産終了、見本盤しかないような時期です(この曲に限っては通常盤も存在します)。では国内盤の見本盤と英国盤を比較したとき、どちらに軍配があがるのでしょうか。この曲に関しては意外に大人しい鳴りで、音質に関しては甲乙つけ難いのですが、玉数の少なさなどから、国内盤の方が倍以上の値札がついているということになっております。

見た目ではどちらも盤質良好です

個人的に最もいい音で鳴る7インチ・シングルを挙げるとしたら、まず思い出す筆頭候補はブルース・ホーンズビー&ザ・レインジの「ザ・ウェイ・イット・イズ」です。イントロのピアノからドラムスが出てくるあたりの空間的な広がり、楽器の音の解像度の高さ、日米どちらの盤も猛烈ハイ・レベルな鳴りです。ただこの米国盤はスリーヴが無く、ちょいと寂しいのですが、音質は甲乙つけ難し、でも鳴り方はかなり違います。端正な鳴りの国内盤とラウドな鳴りの米国盤。…でもこの曲でラウドな鳴りが求められるのか…。溝の太さ等は同等です。…好みの問題でしょうか。この曲の国内盤は結構玉数が多いので、レア度という意味では米国盤に軍配が上がります。値札は米国盤が国内盤の倍以上となっております。

アナログ・オーディオの最も美味しい辺りの音源ですが、さほど高額な盤でもありませんし、曲がお好きならレファレンス盤として、一枚いかがでしょう。


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