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7インチ盤専門店雑記778「デイ・トリッパー」

初期ELO、エレクトリック・ライト・オーケストラのライブを観ると、ビートルズの「デイ・トリッパー」のカヴァーをやっておりまして、これが妙に格好良いんです。初期ELOはまだレパートリーが少なくて、クラシック曲のポピュラーなもの、例えば「はげ山の一夜」とかやっているわけです。そのセットリストのなかでも、クラシックとロックを行ったり来たりする中で、「デイ・トリッパー」が妙に印象的なんです。

何故なのか考えるまでもないのですが、イントロの印象的なリフですよねぇ…。ジェフ・リンはこの時期、好んでソープバー・タイプのピックアップがついたレス・ポールを弾いておりますが、これが
ベスト・マッチであることは一目瞭然、ストラトキャスター等ではこのタイトなリフを弾いた時に余計な倍音や胴鳴りが聴こえてしまうように思うんです。ストラトキャスターを使うギタリストはそこが良くて使うわけでしょうから完全に好みの問題ですが、ソープバーのタイトな音は切り込み鋭く、こういった音数の多いバンドには向いている気がします。好き嫌いはありそうですけどねぇ…。フェンダーのシングルコイルと何がそんなに違うんですかねぇ。とにかくさすがジェフ・リンといった印象です。

オリジナルのビートルズの方は、ギルドか何かの箱物をジョージが弾いている映像がありますが、レコードの収録時はどうなんでしょうね。ジョン・レノンが書いた曲のようですが、彼はリッケンバッカーでバッキングをやっております。ヘッダー写真のように、元は両A面シングルです。初めての両A面ということですが、何か意味があったのでしょうか。大ヒットは大ヒットですねぇ…。

まあ、オリジナルはおいといて、ELOです。クラシックとの対比としてのロック・サイド、やはりイントロのインパクトでしょう。他にはジェリー・リー・ルイスの「火の玉ロック Great Ballsー Of Fire」とかもやってますけど、ピアノ曲ですからねぇ…。如何せん、チャック・ベリー「ロール・オーバー・ベートーヴェン」のカヴァーがヒットして、グッと認知度が高まったわけで、両刀遣いのロック・サイドを印象づけるツールになりましたかね…。

後々ジョージ・ハリスンとの共同作業も多く、ビートルズの発掘音源リリースにも関わって行くことになるジェフ・リンですが、今さらに根本的な音作りの部分でビートルズ・フォロワー代表なんですかね。ELOはクラシカルな要素ももった個性的なバンドでしたから、その部分の音作りに意識を持っていかれますが、共通点があったと言った方がいいレベルでビートルズと似た方向性を持っていたのかもしれませんね。

ELOのこの辺りの演奏を観ていると、難しいことはやってないのに格好良いと感じるんですよ。…言ってみれば、スナーキー・パピーの対極とでも申しましょうかねぇ。音数が多い中でシンプルなフレーズを光らせる技なんです。スナーキー・パピーの連中って、演奏テクニックは凄いレベルなのに、フレーズをこねくり回しているだけで、なんか格好良くないんですよねぇ。…お好きな方が読んでいらっしゃいましたらゴメンナサイ。とにかく、ELO、とりわけジェフ・リンは凄いな、奥が深いなと思った次第です。






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