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7インチ盤専門店雑記907「The Blister」

コージー・パウエルが1981年にリリースしたアルバム「サンダーストーム Tilt」からシングル・カットしたのは「Sooner Or Later」でした。意外と言えば意外な選択ですが、ジェフ・ベックが弾いている曲がシングル向きかというとそうでもないので、これはこれで順当線なんですかね。エルマー・ガントリーによるヴォーカルが入ってますしね。

ここらの人脈は、深い深い英国ロックの森の不思議な部分ですから、まだまだ解析できておりませんが、とにかくElmer Gantry エルマー・ガントリーというのは、Dave Terryという人物のことです。1967年から68年頃にElmer Gantry's Velvet Operaというバンドがありまして、後にストローブスに加入するRichard HudsonやJohn Fordがいたわけです。そこのヴォーカルです。

ここらの人脈を調べていると時々出てくるHudson Fordというユニットがありまして、これがHudson Fordという人物がいたわけではなく、Richard HudsonとJohn Fordの二人のことなんですね。何がややこしいかというと、このJohn FordがElmer Gantryと一緒にやっていた頃はドラマーなのに、いつのまにかギター/ヴォーカルになっていることでしょうか。

まあとにかく、Elmer Gantryという名前を検索しても、バート・ランカスター主演の1960年の映画「エルマー・ガントリー/魅せられた男」の情報ばかりが出てきます。この映画の主演女優がジーン・シモンズという名前だったりするもので投げ出したくもなりますが、恐らくコージー・パウエルのアルバムで歌っているのはDave Terryなのでしょう。1970年代後半、Dave TerryはKirby Gregoryというカーブド・エアーに在籍したこともある人物と一緒にStretchというブルース・ロック・バンドをやっておりますが、ここも複雑なんですよねぇ…。John Cookがいたり、Hiroshi Katoという人間がいたり…。毎度よくわからなくなるので、かえって忘れられない、…ウンザリする辺りです。

思い切り話が逸れましたが、ここで何より嬉しいのが、このアルバムでイチバン好きな曲「The Blister」がB面に収録されていることです。ゲイリー・ムーアの提供曲というかゲイリー・ムーアが弾いています。作者クレジットはゲイリー・ムーアとキーボーダーのドン・エイリーになっていますね。セッションの中で生まれた曲ならコージー・パウエルも作者に名を連ねそうですから、持ち込みなんでしょうかね。

いかにもスピード好きだったコージーらしい曲です。個人的な好みで申しますと、レインボーの「スターゲイザー」のイントロと、この「ザ・ブリスター」の終盤がいかにもコージー・パウエルといった演奏で好きなんですよねぇ…。ぜひとも音圧高めの7インチで聴きたい音源です。

手数が多いのに重たいドラムス、音だけ聴いて誰だか判るドラマーはそう多くはいませんからねぇ。個性と言えば個性、…凄いです。

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